[薪ストーブ]ダブル(二重)煙突をDIY|鋼板製から鋳物製薪ストーブへ - ②
2020/01/04
前回の記事:鋼板製から鋳物製薪ストーブへ - ①|穴の開いた薪ストーブ(ジャンク)を復活させたい!
前回の記事では、ボロボロの"鋳物製"薪ストーブの修理をしました。
続いて今回は、「煙突編」です。
前々から導入を夢見ていたダブル(二重)煙突をDIYしようと思います。
[おさらい]シングル煙突とダブル(二重)煙突
価格:シングル煙突 < ダブル煙突 (ハゼ折り < 溶接)
最安値の煙突といえば、ホームセンターで売られているステンレス製のシングル煙突だと思います。太さにもよりますが、おおよそ90cm辺り1,000円~1,500円くらいだったと思います。
続いてダブル煙突には、「ハゼ折り」と「溶接」の2種類があります。
最高級の「溶接」タイプだと、90cm辺り20,000円~で、「ハゼ折り」タイプが16,000円~といったイメージですが、ホームセンターでも売られている安価な「黒耐熱煙突(シングル)」と、「ステンレス製シングル煙突」をサイズ違いで2本組み合わせれば、90cm辺り6,000円くらい(4,000円(150Φ※黒耐熱煙突(シングル))+1500円(120Φ※ステンレス製シングル煙突)+断熱材500円くらい?)~で制作可能だと思います。
煙突にはこの他にも、煙突トップや、我が家のように曲げる必要がある場合は、その数だけ「エルボ」というパーツが必要になります。
煙突の基本知識:
煙突は、室内にある薪ストーブから始まり、室外に突き出している煙突トップが終着点です。
室内(温かい)側にある煙突と、室外(冷たい)に突き出た煙突とでは、大きな温度差があります。
煙突内を通る煙(高温)が、外気によって急激に冷やされてしまうと、煙突(ドラフト)効果が失われ、それにより煙突内に「タール」や「煤」がこびりつきやすくなってしまいます。
「タール」や「煤」によって煙突の内径が狭まっていくと、「煙道火災」の危険性も増していきます。
この「煙道火災」を防ぐには、こまめな煙突掃除が必須となります。
ここでダブル煙突をつかえば、外気は冷たくとも内側を通る煙突内の排気温が急激に下がることはなくなるため、「タール」や「煤」の付着が軽減され、ドラフト効果が阻害されることもなくなります。
まるで夢のようなダブル煙突ですが、これをなんとかDIYで、"安価"に作りたいと思います。
[構想]
室内はシングル煙突で、120Φの黒耐熱煙突を使い、室外に出る部分からはダブル煙突にしますが、外側は黒耐熱の150Φですが、内側はステンレス製の120Φです。
できるだけ安価に仕上げたいという思いと、室内側の排熱は享受したいという思い、そして外見は全て黒色の煙突にしたいというデザイン性にもこだわりました。
煙突を買いに行く
ホームセンターで必要なパーツを購入してきました。
制作に必要だった150Φの蓋など、どうしても見つからないパーツだけはインターネットで購入しました。
左から、
・120Φステンレス煙突(90センチ)※二重煙突の内筒として使用
・150Φ黒耐熱煙突(90センチ)※二重煙突の外筒として使用
・120Φ黒耐熱煙突(90センチ)※室内側の煙突として使用
断熱材(グラスウール)は、小屋を建てたときの余りを使いました。※外装のビニールは剥がして使う。
ホームセンターによっては断熱材のバラ売りもあるので、煙突に使う程度の量であればとても安価に入手出来ると思います。
我が家のように煙突を曲げなくてはならない場合は、このような「エルボ」というパーツが必要です。
DIYスタート
内筒となる「エルボ」ですが、L字のままでは重ねることが出来なかったので、一旦バラしました。
150Φの外筒の中で、120Φの内筒を(針金を使って)組み合わせます。
組み合わせが難しい「エルボ」部ですが、ここもしっかりとグラスウールを巻きつけ、断熱します。
内筒の掃除蓋を取り付けたら、、
ここにも断熱材を入れ、外筒の蓋をします。
直線部の加工は、内筒にグラスウールを針金で巻きつけ、外筒と組み合わせるだけなので簡単です。
※内筒と外筒の長さを合わすために若干カットしたり、ペンチを使って煙突経を小さくしたりと、多少加工の必要がありました。
ダブル(二重)煙突の蓋を作る
120Φから150Φへとサイズが切り替わる部分や、煙突トップとつながる部分には、「蓋」を取り付けなくてはなりません。
ホームセンターでは売っていなかったので、インターネットで購入した(150Φの)蓋です。
※恐らく「エルボ」用の蓋と同じだと思います。
ドリルや金切りハサミを使って、蓋を加工します。
薄いステンレスですが、こんなキザギザを折り曲げるだけでも固いので大変でした。
煙突トップとつながる部分の蓋が完成しました。
ちょっと荒い仕上げですが、目に触れない場所なので満足しています。
煙突トップを自作する
煙突トップといえば煙突パーツの中の花形なので、当然ながら?製品を買おうとすると高い(17,000円~くらい?)です。
偶然我が家にはステンレス板があったので、お金を掛けずに煙突トップを作ってみる良いチャンスでした。
※ステンレス板が無い場合は、ホームセンターなどで「トタン板」が2,000円くらいで購入出来ます。
端の処理は、このような「つかみ箸」と呼ばれる工具があると便利です。
溶接が出来ない人の強い味方だと思います。
とても便利です。
これはまだ一度塗りですが、合計三度塗りまでやりました。
最低限の煙突トップですが、一応それっぽく作ることが出来たと思います。
メガネ石の制作とその他の細かいこと
これまでに使ってきた煙突は、106Φだったので、メガネ石も新たに作る必要がありました。
メガネ石は高い位置に乗せるので、(安全性を考え)できるだけ軽いものにしたいと思います。
基本的にはセメントと砂で作りますが、その中に「パーライト」を仕込むことで、重量のカットを目指します。
我が家は、"黒曜石"パーライトを使っていますが、これは他の作業で使うために買ってあったものを流用しただけなので、メガネ石を作る際には通常(安い)のパーライトで構いません。
パーライトの上に、セメントと砂と水を加えました。
※配合は勘です。
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3日くらい硬化待ち
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完成。
元々使っていたメガネ石(コンクリ100%)と比べると、たしかに軽くなっていることが分かりました。
設置編
前回の記事で登場した薪ストーブは、iPhoneの水平器アプリを使って小屋内に設置済です。
前回の記事:鋼板製から鋳物製薪ストーブへ - ①|穴の開いた薪ストーブ(ジャンク)を復活させたい!
工事に対するフットワークが(異常に)軽いところが、我が家の良いところです。
ちゃちゃっと壁を剥がし、穴を開けてしまおうと思います。
以前使っていた穴は塞ぎ、、
新たに開けたい穴の位置を決めたら、後はノコギリで(地道に)穴を開けました。
メガネ石を乗せる為の板を取り付け、断熱材を元に戻し、内壁を貼って煙突を通したら終わりなのですが、、
そういえば外の煙突の支持パーツが無かったので、ここで一旦作業が頓挫してしまいました。
ホームセンターで買ってきても良かったのですが、手持ちのパーツだけでもなんとかなりそうだったので、自作することにしました。
端の処理は万力(バイス)が便利でした。
塗装の下地作りとして、ワイヤーブラシでステンレスの表面を擦っています。
塗装はいつもの「ミッチャクロン」と「(耐火スプレーではなく)タミヤ」です。
※タミヤブラックを使ったのはたまたまですが、もの凄く綺麗にスプレーすることが出来ました。タミヤは凄いと思います。
先ずは室内側だけを設置して、、
外側の煙突を組み合わせました。
※煙突の支持パーツが一つでは不安だったので、後日もう少し上部をワイヤーでも支えることにしました。
こんな感じのものを作りました。
※台風19号にも負けませんでした。
いざ試運転!
煙突が長くなった分、吸い込みが向上しました。
煙の逆流などはなくなりましたが、着火して直ぐに蓋を閉めてしまうと火が消えてしまうので、煙突内が十分に暖まるまでは扉を少し開けておくというのがこのストーブの使い方のようです。
初めて使うストーブなので、非接触レーザーの温度計を使って、各パーツの温度を測りながら見守りました。
関連記事:壁の温度を測ったら見えてきた薪ストーブの真実|[A_Life ]赤外線放射温度計(非接触レーザー温度計)
自作の煙突トップからも煙が上がっています。
※小屋がいつまでも防水シートのままですが、これには深い理由があるのです...。
空気の吸入口がこの小さな○しかないので、この穴の付近しか炎が上がっていないような気がします。
そして内側のガラスが直ぐに汚れます...。
インターネットの情報を信じて「ガラコ」を塗ってみました。
ガラスが磨きたてだと気持ちが良いです。
焚き始めてから数十分。
ガラスの上半分が曇ってきたような気がします。
とりあえず「ガラコ」は駄目でした。
※この時はまだ鋳物製薪ストーブの良さには気が付いていませんでしたが、後に薪がゆっくり燃えることで燃費が向上していることに気が付きました。これだけでも買って良かったと思います。
今後も暫く使ってみて、また書けることがあれば「鉄板性薪ストーブと鋳物製薪ストーブの違い」についてまとめようと思っています。
おしまい。