知らなかった うこんの匂いってすごいぞ
2019/04/18
生ウコンからターメリックパウダーまたはウコン茶を作った話
その1
となり街への途中に、プレハブ小屋に薪ストーブを取り付けた商店があります。
その店は「安売り天国」という名前ですが、「お客様募集中」だとか「生活税は頂きません」だとかいう手書きの看板の迫力がありすぎて、天国というわりにはおよそ近寄りがたい雰囲気で立っています。
ところが、おそらく、一年にたった一度だけ天国の繁盛する時期があって、春先、店頭に「ハルミ入荷しました」という看板が立ったらそれが目印です。
(ハルミとは、甘くて、肉厚で、粒がみずみずしく弾ける、大ぶりミカンの名前です)
で、その天国には、ミカンやリンゴなどの果物のほかに、根菜や漬物、佃煮などの日持ちする品物が並んでいて、それでつい手に取ってしまったのが、本日の主役「うこん」。
その2
――うこん。
日本では、二日酔い防止に飲むという印象の強いうこんですが、カレーの黄色というか茶色の正体ターメリックとしてもお馴染みかと思います。
うこんを携えて会計へ向かうと、天国の主であるじいちゃんは「これはショウガしゃないよ、うこんだよ」と何度も念押ししたあと、「薄く切って乾燥させたら、粉にして飲むんだよ」と、お茶の作り方を教えてくれました。
「うこん茶」というやつです。沖縄ではおなじみらしいです。
お茶もいいけれど、でもうこんといえばやっぱりカレーですよね。
というわけで、ターメリックパウダーを作ってみたいと思います(作り方はうこん茶と同じなんですが…)
その3
天国のおじいちゃんが念押しするだけあって、見た目は完全にショウガ。
…っぽいけれど、やっぱり何か違う。
上の画像では乾燥収縮しているように見えますが。
しかし。
ビニール詰めのまま長い間天国に置いてあったせいで、うこんのボディは軒並み柔らかく、中には液体を出しているものも…。
そういうものを除いてから、よく洗いました。
そして皮つきのまま1-2ミリの薄切りにして、重ならないようザルに並べて乾燥させます。
数日後。
すっかり水分が抜けて小さく丸まったうこんたち。
これを粉砕機に入れて、粉にしていきます。
私はタイガーのミキサーを使いました。
あっというまに粉々に。
フタを開けると…!
ほおっ、と思わず感嘆の声があがるくらい、清々しくて清潔な香り!!
その4
古くから漆器や焼き物などは、黄色に染めた布に包んでから木箱に納めて保管されてきました。
現代の品はわかりませんが、それらの黄布はうこんで染めたものが使われていました。
うこんには防虫効果があるとされていたんですね。
ではいったい、いつ頃からうこんは日本で使われ始めたのでしょうか。
世界最大のうこん生産国であり、その95%がスパイスとして国内消費されているというインド。
うこんはそのインド出身だと考えられていて、日本へは平安時代に中国から琉球へと伝わり、室町時代には日本本土へと広まったといわれています。
そして江戸時代中期には、木綿や紙を染色する目的で多く用いられたという記述が残っています。
その5
それはそうと。
自作のターメリックパウダーで、ジャガイモマサラを作ってみました。
このお皿に盛られた粉のうち、どれがターメリックなのかお判りでしょうか、自分でもわからなくなるくらい色の薄いマイウコン。
とは言ったものの、やっぱり黄色いウコン。
正解は上から時計回りに、クミン、ターメリック、コリアンダー。
(左:大津屋のターメリック、右:自作ターメリック)
以前大津屋(スパイス店)で購入したうこんは、鮮やかな黄色ですが。
うちのうこんはアンティーク感溢れるカラーです。
じつは、ターメリックパウダーを作り終えたあとになって作り方を調べてみたところ、ちょっと手順に違いがあったので、下にメモしておきます。
1、うこんを水洗して皮をむく。(→私は皮付きのまま)
2、5-6時間煮たあと、2週間ほど十分乾燥させたのち、細かく砕く。(→私は煮なかった)
もしかして、煮ると黄色が鮮やかになったりするんでしょうか。
スパイスとして使う場合に使用するターメリックの量は、かなり少量(小さじ半分とか)ですが、それでじゅうぶん色づくし、あんまり加えすぎると苦みが出てしまうので注意が必要です。
ですが、マイターメリックは色が薄いため、はっきり申し上げて入れても入れなくても色はあんまり変わりません。
けれど香りはとてもよい!
やっぱり挽きたてのスパイスはいいものだなあ。
などと言って、試しに数年前に購入したターメリックパウダーのフタを開けて嗅いでみたところ、意外なことになかなか新鮮な香りがしまして、スパイスってずっと香りが続いてすごいなあと思ったのでした。
↑上野のスパイスの名店「大津屋」のアマゾン店。
たくさんのスパイスが売っています。