「天然」の限界を感じる。天然のディフューザーで森の中にいるような香りに…?
2020/01/22
部屋を締め切りがちになる冬季、空気の入れ替えをしてもやっぱりちょっと気になってしまう、室内の匂い。
今回は、わりと簡単に手に入って、しかも簡単な方法で、お手軽に部屋の匂いを改善してみようというお話です。
しかも加湿も同時にできてしまう…!
※実験結果と効果的な方法は、この記事の一番下に書いてあります。
参考にしたのは、こちらの商品。
お店では「ディフューザー」と書かれたポップが付いていました。
もみ、ブルーアイス、ユーカリ、月桂樹(おそらく)
お店では、水を張った金盥にこれらの葉を入れて、薪ストーブにのせてあったんですが、店内は針葉樹独特のえも言われぬかおりで満ちていて、それは衝撃的な体験だったのです…!
瞬間、この香りはヒノキとローズマリーかな、などと思っていましたが、開けてみれば上記4種。
もみと月桂樹はともかくとして、ブルーアイスとユーカリは、身近で手に入れることはできそうもないため、手軽に手に入れられる針葉樹で代用できないか実験してみることにしました。
わが家の庭周辺で採取できそうな針葉樹は、ヒノキ、スギ、マツの3種です。
↑左からヒノキ、スギ、マツ
とりあえず、先端付近を選んで切ってみました。
そしてこれを水と一緒に片手鍋に入れて、薪ストーブの上で加熱していきます。
まずはどの葉からどんな香りがするのか、またどのくらい強い香りがするのかを確かめるために一種類ずつ試してみました。
ヒノキ
ヒノキといえば、ヒノキ風呂だとか、木の家だとか、よい香りで有名な木ですので、これは期待してよさそうです。
ところが。
いくら加熱しても、部屋に針葉樹のいい香りが充満…!するどころか、匂いません。
鍋の中のヒノキ液自体は、顔を近づけると匂うので、まったく匂いがない訳ではなさそう。ですが、芳香剤としては使えそうもありません。
スギ
スギは花粉症を連想させるというか、原因そのものなので印象は悪いですが、よい匂いの線香の原料でもありますので、こちらもまあ、期待できます。
しかし。
ヒノキと同じく、スギ液自体は匂いますが、部屋中に香るというレベルではありません。
また、ヒノキ液とスギ液の香りですが、正直なところ両者には大して違いはないような気がします。
「針葉樹のかおり」として一括りにできる範疇です。
マツ
マツは、いわばおまけ的なかんじで採取してきました。簡単に手に入る針葉樹ということで。
面倒くさくなったので、スギヒノキと混合で火にかけました。やはり駄目です。
もしかして、薪ストーブの火力の問題?
もっとぐつぐつするくらいの火力で蒸気を上げないとダメだったりするんでしょうか。
そこでこれまでと同じ条件(薪ストーブの上)で、商品の「ディフューザー」を加熱してみたところ…。
に、匂いがする………!
とろ火で加熱しても、部屋に香りが広がるよ!
(※香りはあんまり長くは続かなかった、けれどなかなか強く香りました)
つまり、火力の問題ではなくて、使用する葉の種類が問題なのかも………?
というわけで、商品の「ディフューザー」に含まれている葉のうち、最も手に入れやすい「もみの葉」を採取してきました。
↑これがもみの木。意外とあちこちに生えています。
↑採取した枝先の葉
これまでと同じように、薪ストーブの上で加熱します。
が!
やはり、匂いはしません。
スギ、松、ヒノキ、もみ、どの葉にも言えることですが、鍋の中の水は茶色に染まって、とても強い香りがします、けれどもその香りが室内に広がらないのです。
もしかして商品の「ディフューザー」に入っている、もみ以外の植物がいい働きをするのかもしれない…と思って、袋からもみ以外を取り出して、ストーブの上で加熱してみることに。
↑左からユーカリ、ブルーアイス、月桂樹(たぶん)。袋の中はもみ。
↑灯油ストーブで加熱
………?
なんだろう、香りがしない。
水にはキツイくらいに香りがついているのに。
その後、薪ストーブに移動しましたが、結果は同じでした。
もう、よくわかりません。
どうしたら例のお店の中のような森林の香りいっぱいの室内になるんでしょうか。
香りが立つ、立たないの条件が加熱中の温度ではないこと、針葉樹の種類でもないことがなんとなくわかりましたが…。
ところが。
何かヒントはないものかと思って検索していたところ。
「水を沸騰させ、そこに匂いのする材料を入れる、湯温を下げる(下げすぎないこと)」
と、「Simmer Pot」レシピを紹介しているサイトに書いてありました。
この方法を試してみます(はじめから読めばよかった…)。
↑"6 Simmer Pot Recipes to Make Your Home Smell Great"
まずはコンロで水を沸騰させ、その中にもみの葉を投入しました。
……すると。
立ち上る湯気に、針葉樹の香りがうつって、それが狭いキッチンいっぱいに広がります。
わあ、すごい。
と思ったのもつかの間。
とろ火にしたとたん、香りも弱まり、少しするとそれも消えました。
その後、薪ストーブにのせましたが、香りが立つことはありませんでした。
この過程で不思議だなあ、と思ったのは、沸騰させたお湯に入れたあと、とろ火で煮たもみの葉の液は透明に近いもので、しかもあまり匂いがしなかったこと。
一方、水から葉を投入したものは、香りの強い、茶色い液になるんです。
表面にうっすら油が浮いているような感じです。
それからおまけで。
グランピング「星のや富士」のページにあった画像をヒントに、「もみの葉をタライに入れて、熱湯をかける」方法を試してみます。
↑グランピングの星野リゾート「星のや富士」さん
結果は、「沸騰させたお湯に葉を入れる」シマーポット法と同じでした。
「星のや」法は、フェイシャルスチームがよさそうです。
フェイシャルスチーム
1、タライに葉をいれて、熱湯を注ぐ。
2、タライの上空に顔をおき、タオルや大きめの布で頭部から顔をすっぽりと覆う。
3、鼻や口から蒸気を吸い込む。
結局、どうして「ディフューザー」を売っていたお店の室内いっぱいに森の香りが満ちていたのか、その香りの発生条件のなぞは解けませんでした。
薪ストーブの上にタライを置いて、水と葉を入れてあるだけだったのに。
自宅で同じことをやろうとしても、香りが立つことはほとんどありませんでした。
けれども、少しだけわかったことがありましたので、ここに書いておきます。
今回の実験結果と効果的な方法
「針葉樹の葉っぱで、部屋中を森の中にいるような香りにすることはできる?」
可能です。少しの間なら。
鍋に水をいれて沸騰させ、お好みの針葉樹の葉を入れてから弱火にする。
数分間、森林の香りの蒸気がお部屋に広がります。
しかし天然のものですので、長続きはしません。
気分転換に使うことをおすすめします。
「針葉樹の種類で、香りは変わりますか?」
あまり変わりません。
どれもほとんど同じ香りだと思いますので、手に入れやすい葉を使うといいと思います。