鋼板製から鋳物製薪ストーブへ - ①|穴の開いた薪ストーブ(ジャンク)を復活させたい!
小屋暮らしを始めてからの6年間は、1万円くらいの安価な薪ストーブ(鋼板製)を使っていました。
耐用年数が2~4年というペラペラの鋼板でしたが、内側に耐火煉瓦を入れることで長期の使用を可能にしました。
関連記事:[薪ストーブ]ストーブを長持ちさせる方法|3シーズン目の薪ストーブをメンテナンス
我が家は別荘の多い土地に建っているのですが、裕福な人が多いのか、薪ストーブの設置(煙突含む)となれば、「50~100万円」くらいは掛かるというのが、半ば常識となっています。
しかし僕の薪ストーブは1万円くらいだったし、使っていた煙突もただのステンレス製のものでした。
設置も自分で行ったので、多く見積もっても3万円ほどで全てが揃いました。
では「50~100万円」と「3万円」の差は何かというと、(設置業者を使っていないというのもありますが、)[1.薪ストーブ本体の違い][2.煙突の違い]が大きいと思います。
1.薪ストーブ本体の違い
薪ストーブは、素材によって2つに大別することが出来ます。
・鋳物製薪ストーブ
金属を溶かして型に流し込み成型したもの
厚みがある分暖まりにくいが、蓄熱性が高い
・鋼板製薪ストーブ
鉄板を加工して成型したもの
ペラペラなので直ぐに熱が伝わるが、冷めやすい
2.煙突の違い
・シングル煙突
メリット:とても安価
デメリット:冷たい外気に晒されると、煙突内の温度が急激に下がってしまう。
※煙突内の温度が下がると、「タール」や「煤」がこびりつきやすくなります。そして次第に内径が狭まっていき、煙突効果(ドラフト効果)も失われていきます。
※真冬だと、毎月1~2回は煙突の掃除が必要でした。
・二重煙突
メリット:煙突が室内から室外(寒い)に出ても、煙突内部の温度が下がりにくい。煙突効果(ドラフト効果)が持続する。
煙突内部に「タール」や「煤」が付きにくので、煙突内火災のリスクは低下する。また、煙突外部の温度も低く保たれる為、一般火災のリスクも下がる。
※(オススメはしませんが、)煙突掃除は数年に一度で良いという人がいるくらい、煤も溜まりにくくなります。
デメリット:特に値段、そして重量も嵩む。
はじめに
我が家も遂に鋳物製の薪ストーブを購入したので、これから2回に分けて書いていこうと思います。
第1回目は、「鋳物製の薪ストーブの補修とメンテナンス」について、第2回目は、「二重煙突の作り方と設置」についてです。
ボロボロの鋳物製薪ストーブが届いた...。
僕にはかねてより、欲しい薪ストーブがありました。
デンマーク製の薪ストーブ(鋳物製)で、「アンデルセンストーブ」というシリーズものなのですが、その中でも僕が欲しかったのは、「The Ugly Duckling(みにくいアヒルの子)」というものでした。
既に販売の終了しているストーブなので、中古サイトを調べたり、オークションやフリマサイトのアラートに登録したりと、タイミングを伺っていました。
そしてこの度、「古いけど使用可能」と書かれたストーブが見つかったのでした。
多少交渉の手間がありましたが、遂に欲しかった薪ストーブを購入するに至りました。
※ボロかったので破格の値段でしたが、それでも数万円は支払いました。
配達料金が半額になるというので、運送会社の窓口まで薪ストーブを受け取りに行くことにしました。
担当の方がフォークリフトで薪ストーブを運んできてくれたのですが、、
『うーん...。』
初対面した薪ストーブは、僕の予想を超えたボロさでした。
まるで鋳物製のゴミのようですが、これは本当に使用可能なのでしょうか...?
何はともあれ、自宅に持ち帰ってきました。
『穴...?』
『これはひどい...。(※酷すぎる...。)』
本来このストーブに備わっているはずの「二次燃焼機構」などは、長期間の使用により?大破していました...。
なんだかヤバそうです...。
まずは「解体」してみよう!
最悪捨てることになるとしても、やれるだけのことはやってみようと思います。
まずは錆びついているビス類に潤滑剤(WD-40)を吹きかけることから始めました。
可能な限りバラしてみようと思います。
開始早々、難所にぶつかりました。
天板を止めているボルトがどうしても緩まなかったのです...。
薪ストーブの天板は、蓋の前後に一箇所ずつ付いているボルトで固定されているのですが、前の持ち主は、写真手前側のボルトを無視して外そうとしたようで、そのせいで天板には大きくヒビが入っていました。
きっと前の持ち主も、なんとかメンテナンスがしたかったのだと思います。
しかしどうすることも出来なくなって、手放すことにしたのだと思いました。
ラチェットやレンチに鉄パイプを延長しても駄目だったし、バーナーでボルトを炙ってみても駄目でした...。
ラチェット「大」と、「小」のソケットを使うためのアダプターが壊れました...。
半べそでホームセンターを徘徊し、とりあえず大きなサイズのラチェットと、壊れてしまったソケットを買って来ました。
せっかく購入してきたラチェットは、頭の部分が邪魔をして使い物にならず、致し方ないということで、最終的にはグラインダーでボルトを切断しました。
「念願の鋳物製薪ストーブ」になるか、「粗大ごみ」となってしまうかの分かれ道のような気がして、この作業中はとても不安でした。
蓋側には、切断されたボルトの一部が残っていますが、やはりどうしても緩めることは出来ませんでした。
本来であれば残ったボルトはサンダーなどで切り飛ばし、ねじ穴に残ったものもドリルなどで削り取り、最終的には一回り大きなサイズのタップを立てるべきところなのですが、しかしもう片側のドリル穴は既に修復不可能な状態(天板含め割れている)なので、天板は叩き入れるだけにとどめ、ボルトでの固定は諦めました。
四足の固定には、六角ボルトが使われていました。
ここも硬かったので、鉄パイプでレンチを延長して緩めました。
脚を外すことで、ストーブの両サイドが外れました。
ストーブの内部には、耐火煉瓦のようなものが入っていたのですが、しかしとても軽かったので、僕の知らない素材のようでした。
残念ながら割れているものが多かったのですが、代用がきかないので(僕が知らないので)、これはこのまま再利用しようと思います。
最後は前後のパーツの解体ですが、ボルトで固定されているので、ここでも潤滑剤を使いました。
バラバラになったので、これでようやくメンテナンスの準備が整いました。
ガスケットの交換と塗装の下準備
鋳物のパーツとパーツが重なるところには、必ず「ガスケット/ガスケットロープ」というガラス繊維のロープが必要になります。これは薪ストーブ内の気密性を高めることが目的です。
写真にあるように、適当なロープを使って必要なガスケットの長さをはかっていきました。
寒冷地の長野県まで行けば、薪ストーブの専門店がたくさんあります。
ガスケット(8mくらい)と耐火パテを買ってきました。
※薪ストーブによって太さが異なります。
まずは外装の錆を、ワイヤーブラシやグラインダーなどを使って落とすことから始めました。
ストーブ内部はすぐに汚れるので磨きませんが、ヒビ割れ部などで耐火パテを入れる必要のある部分にだけには、グラインダーを使ってしっかりと錆を落としました。
目に触れない炉内なので、耐火パテはどっさりと使いました。
同じ流れで、ガスケットを入れる部分の錆も落とし、耐火パテを入れてから、ガスケットをいれていきます。
ヒビや穴は、耐火パテで全て埋めました。
続いてはグラインダーが必要な作業です。
ワイヤーブラシでは落とせない頑固な錆かと思っていましたが、もしかしたら前回のガスケット交換時に使用したパテが焼き付いたものかもしれません。
スッキリしました。
錆を落とし、穴を塞ぎ、全てのガスケットを新しいものへと交換しました。
続いては、「耐火スプレー」による塗装です。
まずは鋼板製薪ストーブのメンテナンスで使っていた、灰色の耐火スプレーを下地として吹き付けました。
本番は、この耐火スプレーを使います。
はじめて使うスプレーですが、呉工業だし、なんといっても安かったので買いました。
最後の塗装前に、少しでも見栄えを良くしようと思います。
固まった耐火パテを、カッターや彫刻刀などを駆使して形成しました。
それでは、バラしたときの逆の順番で組み立てていきます。
まだまだ削れますが、削り過ぎて脆くなるもの怖いので、ある程度まででやめておこうと思います。
ストーブの後ろ側。
ここが一番不安なところです。
パテを盛っては硬化を待ち、また盛るを繰り返しました...。
扉の脇の隙間も大きいような気がします。
もう見た目よりも使えることの方が大事だと思うので、危なそうだと思ったところには思い切ってパテを詰めました。
当然ながら、耐火スプレーを吹いてもパテの段差は無くなりません。
ただ、これだけ厚く盛ったので、しばらくは使えると思います。
耐火煉瓦のようなものを入れ、扉と扉下部にある空気の調節パーツを取り付けたら、組み立ては完成です。
この後は火入れをして、耐火スプレーを完全に硬化させる必要があります。
この薪ストーブはデンマーク製なので、煙突のサイズが日本のものとは異なります。
手持ちの120mm煙突の細くなった側を下にすればなんとか入ったので、これで行こうと思います。
着火!
着火は出来ても、扉を閉めると火が消えてしまいました...。
最後はちょっと嫌な感じがしましたが、これはきっと煙突が短いために(90cmを一本だけ差していた)起きた現象だと信じ、続いては煙突の制作に着手したいと思います。
続く。