タイニーハウスピリオディカルズ

タイニーハウスピリオディカルズ|電気ガス水道を契約しないオフグリッドでDIYなセルフビルドの小屋暮らし

作った食べもの もの・こと・ひと

炊飯比較とか「玄米は毒」の噂の真相とか

2018/03/27

 

電気を契約していないわが家では、鍋でご飯を炊いています。

ですがそうは言っても、小屋に暮らし始める前と現在とにおける「炊飯方法の変化」という点では、使用する鍋が「琺瑯鍋」から「圧力鍋」になったこと、そして火器が「ガスコンロ」から「灯油コンロ」に変わっただけです。

琺瑯鍋は、鋳物にガラスコーティングを施してある持ち重りのするもので、これを購入したときに、電気炊飯器に別れを告げました。


↑これのシャイニーブラックを使っています。薪ストーブと好相性。
長いこと金属のレードルを使っていたら、鍋の内側のガラスコーティングに細かな傷が入ってしまったため、最近ナイロン製のレードルを購入しました。そうしたらこれが安いし、使いやすいし、傷の心配もないしで、大正解でした。

と、そんな具合に灯油コンロと圧力鍋でお米を炊いていたある日ですね、古いお宅で使っていたかまど(おくどさん)と、羽釜とを頂きまして。

羽釜はずしりとした鉄製のものと、ひと回り小さなアルミ製のものをひとつずつ、そして厚みのある木蓋、ついでに桜皮止めの大きな蒸篭(本体のみ)も頂きました。

これらがわが家にやってきてから、実際に炊飯したのは一度きりで、外に置いてあるかまどは別としても、室内に保管してある羽釜は場所を取るし、木蓋は乾燥しすぎて橇のようになってしまって取っ手が外れてしまうし、蒸篭はまったく使わないしで、そのくせ、あたまのどこかで「羽釜セット、たまに使わないとダメになってしまうかもなあ」と気になっている始末。

 

ならば無理やりにでも使ってみよう、ちょうどわが家の薪ストーブには羽釜用の穴(たぶん)があいていることだし。

 

で、羽釜を引っぱり出してきまして、炊飯をしてみました。

白米をおいしく炊くコツに、「鍋の限界の8割程度量で炊く」というものがありますが、今回使う羽釜はこんなに立派なもの↓


photo taken from blog post 〔FINAL〕 古民家で宝探し|職人さんとの別れと、近隣住民の熱い視線

ひとかかえもあるサイズ。

これの8割というと、一体何合分になるのか見当もつかない業務用(または大家族)サイズなので、ムリを承知で3合だけ炊くことに。

羽釜と薪ストーブで炊飯

薪ストーブ内部側面に耐火煉瓦を立ててあるため、それが抵触して円盤状の鍔(羽)が浮いてしまってピタリと嵌らず。

しかしどうしようもないのでこのまま炊飯開始。

反り返った木蓋から蒸気は漏れるものの、吹きこぼれることもなく。

※写真では木蓋がまっすぐになってます。何度も使う中に蒸気で反りが直りました。

羽釜と薪ストーブで炊飯
白米と発芽押麦。

なんていうか、いわゆる「カニ穴」ができますし、ちょっと火加減が強いとおこげができたりして、これぞ炊飯!といったところです。

言い忘れていましたが、薪ストーブで炊いていたのは数日間だけです。

試しに灯油コンロで炊いてみたところ、薪ストーブと遜色ない仕上がりでしたので、それからはコンロで炊いていました。

意外といけるものです。

が、10日も続けていたら、釜を洗うのが面倒くさくなりました。
大きすぎるんだもの。

 

 

次いで思い出したのが「土鍋」です。

土鍋も冬に鍋をするとき以外には使わないので、365日あったら360日は紙にくるまれています。

年5回と言わず、もっと使ってあげたらよかろう。

土鍋で炊飯
割れてしまったので自分で金継的なことをして修理した土鍋

このまま炊飯してもいいんですが、せっかく羽釜の木蓋の反りが直ったところですので、蓋を変えてみました。

木の蓋が余分な水分を吸ってくれて、蒸らしが上手にできるのではないかという目論見もありました。

土鍋の蓋に布巾をかませて炊飯する人もいるくらいですし。

土鍋に木蓋

ぴったり!

 

そう、見た目にはぴったりなんですが。

炊飯というのは途中、鍋底の水が水蒸気に変わって鍋内を対流する(=かに穴)過程を経て炊き上がるもの。

この土鍋のような浅い鍋に、平らな蓋という組み合わせでは、激しく吹きこぼれてコンロ周りを汚してしまうという結果に。

土鍋と木蓋で炊いた御飯
それでもカニ穴ができて、一応炊けました

そして水が吹きこぼれるということは、お米が吸収するはずであった水分が減ってしまうということ

お米は、重量の約136%の水分を加えて炊飯するのが丁度良いとされていますので、あまりにも水分量が減ってしまうのは良くなさそうです。

※炊く前にあらかじめ吸水させた場合は、お米と同量程度の水を加える
※136%・・・加水量の決定と温度管理について岡田玲子1970:「この適切な加水率は,次のようにして算定した理論値ともほぼ一致することが認められた。 (1)米飯の重量膨張率2.29倍 (2)米飯水分量(中層)62.6% (3)米の水分量14.97% (4)炊飯中の蒸発量8.3% ((1)×(2)-(3))+(4) =(229×0.626-14.97)+ 8.3=136.6(%)」

 

土鍋の蓋を、木蓋から元々のものに変えて炊いてみましたが、矢張り相当量吹きこぼれてしまったため、「土鍋で炊飯」計画はさっそく頓挫したのでありました。

考えてみたら、市販の炊飯用土鍋は、どれも底の深い、まんまるの形状をしていて、しかも二重蓋とかいう優れた設計になっているものも多いので、ウチの土鍋は鍋専用であることだな……そう思った次第です。


↑見た目もスッキリ、使いやすいのでお気に入りの土鍋です。
この白い土鍋に、白だしと酒粕を入れて、白い具材(豆腐・白滝・しめじ・はくさい・ネギなど)を並べて、上からミズナをこんもり盛って、自家製ぽんずで食べる「白鍋」!

 

そんなわけで、いつもの圧力鍋でお米を炊いている現在ですが、悲しいことに結局、どの鍋で炊いたご飯がいちばんおいしかったのかというのは、はっきりしませんでした。


炊き上がりの様子だって大体どれも同じだったし、最近の電気炊飯器の説明にあるような明確な味や食感の違いなんて、なかった気がします。

たとえば「甘みと粘りのあるごはん」「ごはんの味が濃く、やわらかめ」「粒がふくらみ、もちもちとした食感」とか。

ただ、言えることは、違いがなかったのは「白米」を炊いたときだけで、「白米+発芽押麦」のセットを炊いたときには、明らかな違いがありました。

「白米+発芽押麦」のときに、炊飯量、水加減ともに同じ条件で、「羽釜」「土鍋」「圧力鍋」それぞれの鍋で炊いた結果、「羽釜」「土鍋」ともに、お米のもっちりさが不足した、サラサラした仕上がりになり、「圧力鍋」のみ白米を炊いたときと変わらず、ふっくらと丁度良く炊けました。

おそらく火加減や時間を調節すれば、羽釜・土鍋でもおいしく炊けるとは思いますが、いつもの通りにやって、何でもおいしく炊ける圧力鍋はやっぱり便利!

最近は「白米+発芽押麦」のセットから「白米:玄米=1:3」のセットに変えましたが、ここでも圧力鍋の素晴らしさを実感しています。圧力鍋はいいなあ。

 


↑現在はパール金属の圧力鍋を使っていますが、もしも壊れたら次はこれが欲しい・・・。

 

ちなみに玄米は、できれば炊く前に24時間ほど水に浸けておくのが良いとされています。

もちろん、水に浸けたりせずに、そのまま炊いてもいいんですが、ちょっと問題がありまして。


玄米は栄養が豊富に含まれているので、それらを摂取できることを期待して、みんな食べていると思います。


ここで少し玄米について説明を要するんですが、

イネの穂から籾殻を除いた種子(玄米)には、以下の3つの主な組織があります。

fig taken from 種子発芽の生化学 by南川 隆

1、胚芽(発芽したときに葉や根になる)
2、アリューロン層(糊粉粒。種子の外側をぐるっと取り囲んでいる細胞層、胚芽に養分を供給)
3、胚乳(種子の中心部の多くを占める、胚芽に養分を供給)

イネ種子の(カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、鉄、マンガンなどの)ミネラルは、種子全体量の90%以上がアリューロン層に含まれています。

その玄米から胚芽、アリューロン層を取り除いたものが白米(=主に胚乳)です。


このようにミネラルの豊富なはずの玄米ですが、「玄米は実は身体に良くない」と言われることがありまして。

その代表的な理由にアブシジン酸」「フィチン酸」という成分が関係しているんですが、ここではフィチン酸について少し書いてみようと思います。
アブシジン酸 (ABA) は、玄米(穀物種子)だけに存在するわけではなく、果実(りんご・ぶどうなど)や植物の枝葉根全般にも存在するものです。ですので玄米のアブシジン酸に限ってそれを「よくない」というのは「?」という気がします。


植物は次世代の成長のために、種子に大量のリンを蓄積しますが、その大部分はフィチン酸(イノシトール六リン酸エステル)として蓄積しています。

このフィチン酸は、多くの金属イオン(ミネラル)と強く結合するため、細胞のエネルギー源であるリンだけでなく、各種ミネラルを貯蔵するという役割もあります。

※リンがリン酸としてミオ・イノシトールとエステル結合したものがフィチン酸。このリン酸にカリウム、マグネシウム、カルシウムのカチオンが結合した形でアリューロン層に貯えられている。

そしてフィチン酸はミネラルと結合すると、水に溶けにくい物質になると考えられています。

一方、動物が食べ物を体内に吸収するためには、その食べ物が水に溶けやすい状態になっている必要があります。

しかもヒトなどの単胃動物は、フィチン酸を分解する酵素(フィターゼ)を持っていません。


だから玄米を食べても、玄米が元来有している大量のリンなどのミネラルを消化吸収することができないんですね。

せっかく食べても、そのまま胃腸を通過して、体外に排出されてしまう。

※ウシなどの反芻動物はルーメン内にフィターゼ産生能をもつ微生物が存在するため、フィチン酸をリン源として利用することができると考えられています。 ニワトリやブタはフィターゼがありません。


まあ言ってみれば、食べたのに食べてないようなものなので、きちんとした食事を摂ってミネラル分を補給しているのなら、玄米は「食物繊維の豊富な食品」的な扱いで、別に悪いものではない気がしますが、一部で「食べ続けるとミネラル不足を引き起こす」などど危惧する説もあります。

その通りに「フィチン酸の構造と機能 早川利郎,伊賀上郁夫」によりますと、

「IP6(フィチン酸)の タンパク質結合性は酵素活性を阻害し、栄養状況の悪い場合にはカルシウムや亜鉛欠乏症状を起こす要因となる」※量的な面での人体への影響などは今後に待たれる

と、あります。

またその一方で、

「栄養の過剰摂取 に起因する糖尿病や多くの循環器系の疾患が増加しつつある。IP6は、これらの疾患の血糖値やコレステロール値を低め、活性酸素による細胞損傷を防ぎ、加齢や腫瘍の発症を抑制する」

「IP6がいわゆる機能性食品としての価値を有しているものと考えられる」

ともあります。

フィチン酸は穀物や豆類といった種子にはつきものです。いいこともたくさんあると思って、アブシジン酸と同様玄米のフィチン酸ばかりを気にしなくてもいい気がします。


でもせっかくなら玄米からミネラルを摂取できないかな、と思うわけです。

それにはなんとかしてフィチン酸を分解できればいいんですが・・・

 

発芽玄米
12時間吸水した玄米

 

で、どうしたらいいのかといいますと、先にも書いたとおり、玄米を長時間水に浸して「発芽」させるんですね。


玄米を水に浸すと、何が起こるのか・・・?

フィターゼ(Phytase, myo-inositol-hexakisphosphatase など)は、 フィチン酸を加水分解する酵素である。
フィターゼは、小麦や米ぬかなどの高等植物に存在し、種子中の糊粉粒(アリューロン層)に結合している。
発芽についてフィターゼ活性が上昇し、フィチン酸からリン酸が遊離して生長に利用される。
微生物酵素活性の利用による有機性廃棄物からの リン再資源化に関する研究」より抜粋


つまり「イネ種子(玄米)が水を吸収→フィチン酸を分解」という流れが、種にプログラムされているということ!


玄米を水に浸ける時間が長ければ、それだけ発芽は進みます。

それにしても、しかし炊飯の1日以上も前に水に浸けて、準備をしなくてはならないなんてちょっと面倒くさい・・・。

なんとかならないものかと思って、イネについて調べてみたところ、



・イネの発芽に最適な温度は30~37℃
・5℃以下では発芽(胚の生長開始)しない
・発芽する最低温度は10℃
・40℃以上では死亡
・種もみの重さの約15%の水を吸うと発芽を始める
・酸素不足は×


ふむふむ、ということは、

・適切な温度で、種子内の酵素の活性化・合成を促すのがよい
・水はたっぷり、酸素を供給するために水を取り替えること、容器を密閉しないこと


で、ほんとうに24時間も吸水させなくてはならないのでしょうか・・・

イネの種子の発芽についての論文には、イネ種子は吸水から発芽まで、3つの段階があると書かれています。

fig taken from the article "The pattern of water absorption in rice seed" by Norindo Takahashi

phaseAが吸水期、phaseBが発芽準備期、phaseCが生長期です。

つまり、種子を水に浸けて一定量を吸収させなければ、発芽の準備を開始しないということです。

乾燥させた状態のイネ種子(元水分含有15%程度)に、種が活動を開始するために15%くらいの水分を吸わせるには、24時間程度が必要・・・

水温を上げることによって、吸水期・発芽準備期ともに時間が短縮されることがわかっていますが、発芽の最適温度といわれる水温(恒温)32℃で、いわゆるハトムネ状態(イネから芽が鳩の嘴のようにちょこっと出ている状態)になるまでに24時間を要するということですので、矢張り前日から炊飯準備を行うのがよいということになりそうです。

保温機でもない限り、水温32℃を保つのは難しいと思いますので、とにかくハトムネになったらOKという心算で、定期的に水を替えつつ、玄米の発芽具合をみながら吸水させるのがよさそうです。

いろいろ書いてきましたが、「黒瀬農舎の発芽玄米簡単レシピ」の玄米の発芽方法が、いちばん理に適っているかなと思いましたので、参考にして発芽させています。

以下レシピの要約です。

1、米を洗った後、玄米をざるに入れ、水を張ったボウルの中にざるごと浸す。

2、12時間後
玄米を水から上げて軽く洗い、水を交換する(省略可、ニオイと相談)

3、24時間後
玄米を軽く洗い、ボウルには水を張らず、玄米の表面が乾かないように水に浸したフキンを掛ける。

4、~36時間後
10粒にひと粒程が0.5から1ミリ程度発芽していれば完成 (芽の出すぎに注意!!)

※面倒くさい人は、まとめて発芽させて、すぐに炊飯しない分は冷蔵庫で保存するという手もあるそうです。

 

つい吸水させるのを忘れてしまう私は、ぬるま湯に浸けて2〜6時間程度で炊飯してしまうこともありました。

それでも、「24時間吸水」の発芽玄米を炊いたときの、あの劇的な粒の膨らみ具合、色の違い、食感、一度それを知ってしまってからは、吸水準備を忘れた際には、潔く諦めて、白米を炊くようになりました。

それくらい、24時間吸水の発芽玄米はおいしいものですので、ぜひ一度お試しくださいー!

 

※フィチン酸 参考元:東京大学大学院農学生命科学研究科 研究成果 植物種子の金属蓄積に果たすリン貯蔵物質の役割を解明
※イネ種子の吸水 参考元:稲種子の発芽過程における水分の吸水様相 : 特に発芽遅速よりみた各相の意義について高橋 成人

 

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