ゼロ・ウェイスト・ホームとタイニーハウス
2017/02/13
最近手に取った本「ゼロ・ウェイスト・ホーム」(ベア・ジョンソン著)は、家庭から出るゴミを限りなくゼロにしようと奮闘するさまを書いた本です。
著者のベアさんは現在、夫とふたりの男の子とチワワと暮らしています。
フランスで生まれ育った彼女ですが、「ゼロ・ウェイスト・ホーム」の舞台となったのはサンフランシスコです。
彼女は”庭のある大きな家での贅沢な暮らし”というアメリカンドリームを夢見て早々にそれを叶えましたが、ある日モノに溢れ、使い捨て・大量消費する生活に疑問を持つようになります。
そして以前よりも小さな家への引越しを機に、シンプルライフ・ゴミを出さない暮らしに目覚めて行ったのです。
「ゴミをゼロに」することが最終目標ですから、その行動も徹底しているしアイデアもたくさん詰まっているんですが、一方で「こんなのムリ!」「そこまでやるの?」と思ってしまうようなことも紹介されています。
今回は「これは!!」というアイデアと、「ちょっとおもしろいけどやりすぎ?」というアイデア、そして我が「タイニーハウスでのタイニーライフ」との共通点(少しだけ共通点があったんです)を書き出してみようと思います。
そのまえに、まずは「ゼロ・ウェイストってどういうこと? 」から・・・
簡単にいえば「家庭から出るゴミをゼロにする」ということ。
家庭ごみのカットは5つの簡単なステップから
①Refuse:不要なものは断る
②Reduce:必要なものを減らす
③Reuse:買ったものは繰り返し使う
④Recycle:①-③ができないものはリサイクル
⑤Rot:残りはすべて堆肥化
捨てること・・・自分の目の前から消えただけ
捨てたゴミは処分場へ運ばれて燃やされ埋められ、結局資源がムダになります。
ゴミの処分には毎年何十億ドルもの費用がかかっています。
この画像は、ベアさん一家が一年間に出したゴミの内訳です。
4人でたったのこれだけ!
500mlの保存瓶に収まってしまう量です。
ゼロ・ウェイスト・ホームに見習いたいアイデア
1、コンポスト
よく言われるとおり、家庭ゴミの中で生ゴミが占める割合の高いことを考えてみれば、ROT(堆肥)というのがゴミの減量に有効なんだなと改めて思います。
ジョンソン家では ”Recycle,Refuse,Reuse,Reduce” ができなかったものは、コンポストへ投入して堆肥化しているそうです。
だからモノを選ぶ基準に「コンポストへ投入できるかどうか」が含まれています。
たとえば持ち手が竹でできだハブラシを選んだり、フロスは絹糸を2、3本撚ったものを使うとか・・・。
ウチにもコンポストはありますが、設置してある場所が遠すぎることと、コンポスト自体選ぶ余地なく買ったものだったので気に入っていなくて、まったく活用できていないんですが、なんとか復活させたいと思いました。
もしくはイーエムジャパンというメーカーの出しているEMバケツというタイプのものが自作できないかなと思っています。
虫もわきにくく、においも少なく、良質な堆肥がたくさんできるとのこと!
2、もらわない
ベアさんは、使い捨てプラスチック、レジ袋、無料グッズ、景品、ダイレクトメールなどを断っているそうです。
買い物に出かけるときには、保存瓶を持参していますし、パンはシーツで作った保存袋に入れてもらいます。
(注: ベアさんは基本的に量り売りの店で買い物をします)
野菜は自分のできる範囲で自宅の庭で育てるようにすれば、フードマイレージもゼロ、ムダな包装なしで済ませられます。
私はといいますと、無料グッズや景品は、ティッシュなんかはもらいますけど、その他はよっぽどでない限りもらいません。
不要なダイレクトメールは東京に住んでいたときには「送付不要」と書いて返送していましたが、引越しして転送可能期限の2年が過ぎた現在では殆ど届きません。
レジ袋はスーパーでは貰いませんが(というか貰えない=有料)、コンビニやホームセンターでは入れてもらってます・・・。
と、こんな具合に私は不徹底です。
Refuseすることが社会的にも一番難しいのではないかとベアさんが書いていますし、それに断る強い意志も必要です。
アメニティや試供品はつい貰ってしまいがちです。
3、必要と不必要を見極める
量(=使い捨て)→質(=直しながら)にシフトしていく。
これからの消費を抑える。
つまり「買わないこと」。
買うならせめてリユース可能なもの、リサイクル可能なものを。
(自分にとっての)必需品・持ち物を減らすことは、それを保管する「場所」、手入れする「時間」、購入する/処分する「お金」を減らすことができます。
・車の使用頻度を減らす
→ 一度の外出でたくさんの用事が済ませられるようにしていますが・・・なかなか難しいです。
・家のサイズを小さくする
→ タイニーハウスに住んでいるので室内でのモノの保管場所は少ないですが、外にいくらでも保管場所があるので効果は薄かったです。
「家の中には置けないから、外に置いとけばいいか」って・・・。
・身の回りのものを見直す。シンプル化。
→ 本をPDF化、電化製品・衣類・日用品の処分など、移住前にはかなり減らしたんですけれど、今は他のものが増殖してます・・・。
・紙の使用量(ムダなプリントアウトをしない、紙ベースで保存しない、レシートを断る、裏紙の利用など。最終的に堆肥化へ)
→ 電気がないので、アナログな手段で記録することが多いです。
裏紙を綴ってノートをつくったりします。そして紙はコンポストではなくリサイクルへ・・・。
・買う量を減らす(量・サイズはニーズに合っている?)
→ 食品に限っていえば、保存の問題から買う量は多少抑えられています。
でも資材などは、「使うかもしれないから」と見込みで買ってしまうこともあります。
「使うとき」になったら買いに行くようにしたいものです。
3、リユースできるものを選ぶ
リユースとリサイクルの違いは、リユースは製品を作られたままの形で何度も使い、リサイクルの加工のために失われるかもしれない資源を節約すること。
リサイクルは、ちがう製品に作りかえること。
・使い捨てのものを繰り返し使えるものにかえる(ラップ→保存瓶、ペットボトル→水筒など)
→ お皿にラップする代わりにガラスの保存容器を使っていますが、たまにラップも使うこともあります。手軽なのでつい・・・。
そういえば以前繰り返しつかえるシリコンラップを買ったことがありましたが、数回の使用で全部破れてしまったことを思い出しました。
・貸し出し・物々交換・賃貸する
→ これはやってみたいことのひとつです!
・できるだけ繰り返しつかえるもの、詰め替え可能なもの、充電可能なもの、修理できるもの、長持ちするものを選ぶ
→ このあたりは共通していますが、でもそれを完全に実践しているのがベアさんで、やりたい気持ちはあるけれど適当というのがわたしです・・・。
最近になってしみじみ思うのは、多少高くても質とデザインの良いものを選んでおくと、結局は得であるということです。
ずいぶん前になりますがレミングハウスの中村好文さんも、ミナペルホネンなどのデザイナー皆川明さんとの対談でそんなことを語っていました。
中村:家も服も車も電化製品も、長く使う、使い続けることが美徳だとういう風潮や文化がもっと広く根付けばいいと思いますね。
皆川:作り手側も使う側もサイクルが早すぎるとうことにいま一度気が付いて本当に必要なものなのかを問うてみる。
(略)
中村:買い換えることが前提で、それで経済をまわしていく風潮があるけれど、そういう循環にストップをかけられるのは結局消費者でしかないですよ。
一方で長く使い続けるためにはモノの質が問われます。(略)40年50年の使用に耐えうるデザイン。
ところで私のおすすめリユースアイテムは、ぞうきんのセットできるフロアワイパー。
不織布シートのかわりにぞうきんがセットできるので、使用後はぞうきんを外して洗えば何度でもつかえるというスグレモノです。
↑この基本のセット(1700円くらい)に、別売りのマイクロファイバーのモップ(890円くらい)を装着することで繰り返し使うことができます。
もう5年くらい使ってます。
4、手作り・代用品
ベアさんの手作りしている衛生用品の一部をご紹介します。
・ローション
キャノーラ油、オリーブ油、紅花油、ゴマ油、ひまわり油、グレープシードオイルなどをそのまま使う。
キッチンで料理にも使うから、モノが増えない。
・手作りの日焼け止め
酸化亜鉛もしくは二酸化チタンの粉末をごま油(単体でも多少の日焼け止め効果あり)か油に混ぜるだけ
SPF20の日焼け止めのレシピ : 50グラム分の粉末を200グラム分のローションに混ぜる
・シャンプー
重曹を使って洗い、お酢で仕上げる
(わたしがこれまでに試した色々なシャンプーの使い心地についてはこちらをどうぞ 。例えば小麦粉・セスキ・ゆで汁・マジックソープなど)
・ドライシャンプー
コーンスターチを毛根に振りかけてもみこむ。
(黒髪の人間がやったらヒドイことになりそうです・・・)
・歯みがき
重曹(&塩味を抑えるため好みでホワイトステビアパウダーを加える)
→重曹ハミガキについてはこちらをどうぞ
・ぞうきん
マイクロファイバーは洗剤なしでもキレイになる。
ベアさんは意外なことに化繊のマイクロファイバーを愛用してるそうです。
(あ、これは手作りではなかったです。)
・アイロン用のり
水500mlにコーンスターチ大さじ1を混ぜたものをスプレーする
・石けん
ベアさんは固形のマルセイユソープなどを溶かして液体石けんにして使っているそうです。固形でも使います。
それからお酢の活用方法が数ページに渡って紹介されていてとても感心したんですが、長くなるので割愛します。
でもひとつだけ試してびっくりの効果があったアイデアをメモしておきます!
それは切り花をいけるときには、水にお酢と砂糖をまぜておくと長持ちするというものです。
私は普段、切り花には縁がないんですけれどたまたま頂く機会がありまして、コレ幸いと試してみたんです。
普通はどのくらい持つものなのか、経験がほぼありませんので見当が付かないんですが、2週間経っても6割が元気にしているというのはなかなか長もちなのではないでしょうか?!
砂糖とお酢にどんな効果があるのか調べてみましたところ、切り花は水だけですと栄養がなくて蕾を咲かせることができないので、砂糖を加えることで栄養補給してあげるのと、砂糖を加えると水が腐りやすくなるので、お酢でそれを抑えるとのこと。
(→切花の寿命は春秋:10日ほど、夏:4~5日、冬:10日~2週間ほどとのこと。とくべつお酢と砂糖に効果があるわけではなさそうです・・・が、蕾はよく開きました。)
ところで、どうしてベアさんが手づくりにこだわるのかといいますと、詰め替えの商品が手に入らない・プラスチック包装である・有害な物質が使われている・自分でもつくれるから・・・ということです。
ベアさんが言う「詰め替え」というのは、日本で見かけるような「ボトル入りの商品に詰め替えるための、パック入りの詰め替え商品」ではなくて、自分でガラス容器などをお店に持っていき、その容器に詰めてもらう「量り売り」のことを指しています。
日本ではあんまり普及していないシステムですよね。
ベアさんいわく
ゼロ・ウェイストは、リサイクルを推し進めるのではなく、リサイクルにかかる不確定要素やコストを問題視するもの
なんだそうです。
こうやって自分の暮らしを振り返ってみますと、自分がいかに「リサイクル」を頼っているのかに気が付きました。
リサイクルのまえに、ゴミをつくらない、ゴミになるものをもらわない、ゴミにしない、などやれることがあるんですよね。
まずはコンポストを復活させねば!!
最後になりましたが、読んでいて面白かったベアさんの「やり過ぎ?」アイデアを
・食事のあとのお皿は、食洗機に入れる前に犬に舐めてキレイにしてもらう。
・週に一度の買い物に出かけるときには、ガソリン節約のためになるべく右折(日本なら左折)だけで帰れる道を選ぶ。
・プラスチックのタッパーウエアやビニール、使い捨ての容器などは使わない・家に持ち込まないので、かわりに大小さまざまの保存瓶を100個以上(!)持っている。
・化粧品はコーンスターチやココアパウダーで手作りしている。
(レシピの一部を一番下で紹介してます)
・ティッシュはウエスで代用して、使用後は洗濯してアイロン消毒する。
このほかにもたくさんありましたが、そういう徹底したところ・行き過ぎなところがまた、読んでいて面白かったです。
ベア・ジョンソンさん:http://www.zerowastehome.com/
ベアさんのTEDx TALK:Two adults, two kids, zero waste | Bea Johnson | TEDxFoggyBottom
ベアさんの手作りメイク
・チークパウダー
(茶色)ココアパウダー、キャロブパウダー
(オレンジ)シナモン
(ピンク)ビーツパウダー
パウダーを小さな瓶にいれて、好みの色になるように混ぜる。
使うときは、モイスチャライザーを塗ってすぐにブラシでパウダーを軽くたたいて色を載せていく。
モイスチャライザーがパウダーを固定してくれます。
・フェイスパウダー
コーンスターチを小さな保存瓶に入れる。そのまま使うかブロンザーとしてココアパウダーを加えて肌のいろに合わせます。
使うときには大きめのブラシにパウダーをのせ手の甲で余分な粉を落としてから、軽くはたいていきます。
(このほか、本にはアイシャドウ・アイブロウ・マスカラ・リップカラーなどのレシピが掲載されています)