さよなら、まぼろしの麦
2017/02/27
日清製粉によりますと、1平方メートルの畑に植えた小麦は、うどん約一杯分なんだそうです。
これを読んでますます絶望的な気持ちになった2月半ば・・・
まずは時間をさかのぼって、秋のお話から始めたいと思います。
秋。
小麦の種を準備しました。
消毒のため、湯につけておきます。
蓋を閉めて保温。
冷めないうちにお湯を追加して保温・・・。
数日後、一粒が2倍ほどにふくらんで、ちいさな白い突起が出てきました。
これは「コユキコムギ」という名前の品種で、まぼろしの小麦といわれていました。
魚戸おさむの漫画「玄米せんせいの弁当箱」の第6巻の「こゆきのパン」に、コユキコムギが登場しています。
これはコユキコムギという品種を開発した大和田さんのむすめさんである、大和田聡子さんのお店「ワルン・ロティ」がモデルになっているお話だと思います。
一時は品種そのものがなくなってしまう危機にみまわれたコユキコムギでしたが、現在ではわずかながら栽培している人がいて、それを使って焼いたパンを提供しているお店もあります。
そんなコユキコムギを育てて、パンでも焼いてみようと思ったのでしたが。
小麦の種の話に戻ります。
種まきをしました。
そうそう、種まきをするまえにあらかじめ灰をまいてアルカリにして、腐葉土や有機肥料を混ぜておきました。
日清製粉さんのいうとおりに、一つの穴に3つの種を入れるようにして筋蒔きしました。
雨降りの翌日は種まきしてはダメだというので、天候にも気を配りました。
種まきも終わって、発芽を待つのみとなりましたが、待てども待てども芽が出てきません。
湯に漬けすぎたのか・・・気温が低すぎるのか・・・厚く土を被せすぎたのか・・・
芽が出ない!
しかし2週間を過ぎたころ。
ようやくぽつりぽつりと、発芽してきました。
日清製粉の小麦カレンダーによると、ここから2月までは放っておいて、2月になって葉が4枚ほどになったら麦ふみをする予定でした。
11月に雪が降って、それから何度か雪が降って、コユキコムギは雪に埋もれたままでした。
それがですね、2月のはじめころに不意に気温が高くなり(といっても8℃くらいまでですが)、雪が解け始めました。
小さいながら緑の葉っぱをつけた小麦も、すっかり顔をだしました。
葉が数枚でてきているので、そろそろ初めての麦ふみかな、と思った数日後・・・
小麦がない!
昨日まで、遠目にも小麦の緑が確認できるくらいだったのに、この日は畑の白茶色ばかりが目立っていました。
近くに寄ってみると、何者かに食べ散らかされているコユキの無残な姿が・・・!!
全体の9割は食べられて、根が土の外にでていました。
うう・・・・コユキ・・・
そういえば、「冬は緑の植物がほとんどないので、小麦の緑を狙ってシカが食べにやってくる」って聞いたなあ・・・
いまさらだけど、ネットかけておけばよかったな・・・。
春になってどれくらい回復するかわかりませんが、今年はパンをあきらめて、種とりをしよう・・・。
どうせ1平米の収穫ができたとしても、うどん一杯だし。
夏はサル、冬はシカ。
自然は簡単には収穫させてくれないみたいです。
ちなみにマンガ「玄米せんせいの弁当箱」の「こゆきのパン」には大和田さん流のレーズン種の天然酵母の起こし方が載っています。
それからパンの焼き方も。
玄米先生によりますと、砂糖や脂肪がたくさん含まれているやわらかなパンを「リッチ」といい、小麦・酵母・塩・水だけで焼いたシンプルなパンを「リーン」というそうで、私はこのリーンなパンが好きです。
たまに石釜で焼いたパンを買って食べますが、どっしりしていて、炭の香りがして、おいしいんです!
これを家でも焼けないかなーと思って、パン職人の友人に作り方をおしえてもらう約束をとりつけているほど、固いパン好きです。
自作小麦で、焼くなら石釜で!
という計画は延期となったのでした・・・。