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本にまつわる話

らっことわりばし

2017/01/28

西日本へと遊びに出かけた知人が、いいもの手に入れたんだけど、と引き出しから取り出して見せてくれたのが「割り箸」だったので、「?」という心境だったんですが、くれるというので何膳か頂いてきました。

その割り箸は、国産の木材を使用して国内で製造したもので、薬品で漂白などの処理をしていないそうで、なんとなく良さそうに思ったのです。

 

小屋では普段、数セット入りの竹製の箸を購入して、1年に1~2度ほど取替えて使っています。

値段を気にせず気楽に使えるのがいいところだと思っていますが、いつか「いい箸」も使ってみたいなーという気持ちもあります。

以前、菜ばしを安価なものから、ちょっといいものに替えたところ、箸先の具合が良くて、これまでのはなんだったのかと思ったことでしたが、個人的には普通の「割り箸」もなかなか摘みやすく、使いやすい箸ではないかと思います。

 

しょうゆとわりばし

(注意:うちの箸ではありません)

 

しかし割り箸に悪いイメージを持っている人は多いようで、これまで割り箸は「環境破壊」「使い捨て」の象徴であるとして、定期的に槍玉にあげられてきました。

でも、ほんとうにそんなにも悪者なのでしょうか。

 

割り箸の発祥はいつなのか、はっきりとはしていないようですが、1709年(江戸時代、徳川綱吉のころ)の、或る商家の「普請入用日記」という出納帳に

・わりばし 壱わ
・はし 一把

などという記述があったことから、少なくとも300年前には「わりばし」という商品があったようです。

 

そのはじまりは吉野(奈良)のあたりの林業ではないかといわれています。

それはこんな具合です。

 

1、杉・ヒノキが建築用として、吉野の山から流送されていた

2、次第に建築だけでなく、樽や桶に使われるようになった

3、その際の端材を利用して箸がつくられた

 

ここからもわかりますように、割り箸というものは現在でも、丸太を製材するときに出る外側の「背板」と呼ばれる弓形の端材を使って作られているものがほとんどです。

丸太をまるごと使うその最後の部分が「わりばし」といえる気がします。

 

時代が江戸・明治・大正・昭和・・・と続くなかで、割り箸は爆発的に需要を伸ばし、新たに参入してくる人も多く居ましたが、しかし国外製造を始めた頃から歯車が狂ってきました。

需要は伸びるけれど、国内の割り箸事業は衰退していくという事態が発生します。
安価な外国産に圧されてしまったのです。

現在では、日本の割り箸の9割以上が外国産、そのほとんどが中国というのが実情です。

 

らっこ

 

日本が海外で割り箸をつくることになったきっかけの、パプアニューギニアの林業についてや、中国の割り箸の木材はどこからくるのか、など割り箸にまつわる話はたくさんありますが、最近の中国についてだけ少しご紹介します。

 

もともと木材は自給できていた中国でしたが、中国国内の建築用材として需要が増えたことで森林が少なくなってきたことや、それにともなう規制などから、中国自身も原木をロシアやモンゴル(シベリア付近)から輸入しているのが現状です。

 

そんな中国で、割り箸用に使われる木材量は、木材の消費量全体の0.16%程度といわれています。

そのうち日本に輸出されるのが約6割ほど。

つまり0.09%くらい・・・。

 

一方の日本は、国土面積の67%ほどが森林である世界第2位の緑被率の国です(1位はフィンランドの69%)

そしてその半分を人工林が占めています。

むかしむかしから木を良く利用していた日本では、近代までに随分と山を刈り倒していたといいますから、半分が人工林というのも頷ける数字ですが・・・。 


つまり、その人工林を定期的に間伐・伐採・植林・製材した際の端材や、間伐材だけで、かなりの割り箸がつくれる可能性があるということなのです。

 

日本では戦後始まった木材輸入によって、国内の材があんまり切り出されなくなりました。

加えて、かつては植林後の間伐材や製材の端材で作っていた身の回りの木製品が、プラスチックやガラス、コンクリートといった素材に代わってしまいました。

これは抗えない流れではありますが、人工林をそのまま放置していたら、日本の山は不健康一直線です。

日本の山と木材についてわかりやすく知りたいなら:おすすめの本|木の家に住みたくなったら

[おすすめ]図書館で借りた本|木の家に住みたくなったら
図書館で建築に関係する本を適当に何冊か借りてパラパラと読んでいたところ、『こんなことが知りたかったんだ』と思える本に出会いました。『木の家に住みたくなったら』 発行日:2011年11月29日 著者:木の家に住みたくなったら制作委員会 狭いアパートの中...

 

それで、らっこですけども、以前こんな騒ぎがありました。

 

らっこは北の海に住んでいて、貝やウニやカニをたべています。

そのため、漁獲高に影響するといって駆除されてしまいました。

 

らっこが減ったのだから増えるだろうと思っていた漁獲高は、反対に減少してしまいました。

そこでその周辺の生物を調べてみると、コンブが少なくなっていることがわかりました。

コンブはさまざまな小動物の隠れ家です。
それがなくなったせいで、みんなが居なくなり、漁獲高が下がったということでした。


ではなんで、らっこが減ったらコンブが減ったのでしょうか。

原因はウニでした。

らっこはウニを大量に食べますが、そのウニがコンブを食べるのです。

それで、らっこがいなくなったために、ウニが大量発生して、コンブを食べてしまったのでした。

 

このらっことこんぶの関係は、日本の森と割り箸の関係とどこか似ているような気がするんですが、どうでしょうか・・・

 

箸

 

ところで、西日本みやげに分けてもらった割り箸は「利休箸」と呼ばれる、箸の両端が細く削られているものです。

間伐した杉の有効活用から作られたものなんだそうです。

鼻を近づけるとこころなしか針葉樹特有の香りがします。


色味も、いかにも木材然としていて「使い捨て」するには勿体無い気持ちになります。

何度か使っては洗いをして、いよいよというときにはストーブの焚きつけにするのもいいけれど、簡易金継で使用した漆が残っているので、いっそのこと塗り割り箸にしてみるのもおもしろいかもしれないなあと思いつつ、まだ使っていません・・・

 

 

 

割り箸問題について書かれた本です。それと、吉野杉の利休箸の100膳セット。

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