派手に割れた土鍋を修理する|簡易金継ぎ#6
2017/02/27
簡易金継シリーズごあんない
1.はじめに:ヘラ作り 2.小さな欠けを直す①(パテ埋め) 3.小さな欠けを直す②(うるし&蒔絵)
4.割れた茶碗を直す①(パーツを接着) 5.割れた茶碗を直す②(うるし&蒔絵) 6.割れた土鍋を修理
エポキシで簡単金継ぎシリーズ最終回です!
これまで長い間、欠けたり割れたりした器たちをそのままに使って、修理を渋っていたのにもかかわらず、とつぜん思い立ったように腰を上げたのには、理由がありました。
その理由とは、これなのです。
細かく割れすぎて、もはや原型をとどめていないこの欠片をきちんと並べますと、こんなふうになります。
大皿…ではなくて、土鍋のフタです。
土鍋はそう使う機会はありませんが、あるのと無いのとでは大違いです。
しかもこの土鍋は、その大きさの割に軽くて使いやすいので、万が一にも割れたフタが修理できなかった場合に新たに土鍋を購入することになったとしても、また同じものを選んでしまうかもしれないくらいには気に入っているのです…。
貫入(細かいヒビ割れ模様)に沿って、ギザギザに割れた破片は、ところどころガラス質の部分が取れてしまっています。
しかし、器ならともかく、火にかけて煮る料理に使う土鍋を、一体エポキシで接着しても大丈夫なのでしょうか。
調べてみたところ、
調理中の土鍋の温度は100度前後で、一方のエポキシ樹脂の熱分解温度は250~350℃程度
これならば大丈夫そうなので、修理をすることにします。
今回は、前回のお茶碗とほとんど同じ作業の繰り返しになりますので、冗長な説明は抜きにしてみました。
まずはダイヤモンドヤスリで修理箇所すべての角を削ります。
そして、エポキシを使ってパーツを接着します。
翌日、はみ出したエポキシを彫刻刀と耐水ペーパーで削り、その後エポキシパテで隙間埋めをしていきました。
↓
大きな穴は、木工用パテを練ったものを埋めておきます。
硬化したあとは、また彫刻刀と耐水ペーパーで磨きます。
汚っ!
と思われたことと思います…
わたしも作業していて思わず行く末が心配になりました。
持ち手のくぼんだ部分は、平丸刀では刃先が入らなかったので、丸刀を使いました。
↓ 光を当てると・・・
それでもずいぶんとキレイになりました。
漆を塗っていきます。
表面が乾いてしまう前に、粉を蒔きます。
筆先がうっかり漆に触ってしまうこと数回…ですが、それに伴う多少の線の歪みは気にしないことにしました。
余分な粉を落とそうとしましたが、付着した粉を筆で掃いても、布でこすっても落としきれず。
粉だらけですが、このまま室に入れます。
完成
もっと貫入となじんで線が目立たなくなるかと思いましたが、そんなことはなかったです。
しかも内側は、漆がかなり乾いてしまった状態で蒔いたらしく粉が付かずに落ちてしまい、思いのほか漆の黒が顔を出している部分が多くなってしまいました。
それはそれで古い感じがしていいかも?
(正確にいいますと、失敗ということですが…。)
本体と合わせるとこうなります。
出来栄えはともかく、割れた鍋を捨てることなく、また使える状態に戻すことができて、満足の簡易金継だったのでした。
それにしても、このために揃えた道具類、エポキシにしても漆にしても、使ったのはほんのわずかで、ほぼ新品同様の状態で残っているのがもったいない…。
機会があったら、みんなで割れた器を持ち寄ってお茶を飲みながらのんびり直す会とかできたらいいなあ、などと思わず夢想してしまうほどに残っています。
しかし、もしも次に修理をすることがあるのなら、本式の漆で継ぐ金継をやってみたくなりました。
おしまい。
ちなみにウチの土鍋は銀峰陶器の「墨貫入土鍋」シリーズです。
蓋は重いけれど、本体が軽くて使いやすいです。
d&department の土鍋のレポートには、ウチの土鍋と同一とはとても思えないくらいキレイな写真があります。
簡易金継シリーズごあんない
1.はじめに:ヘラ作り 2.小さな欠けを直す①(パテ埋め)
3.小さな欠けを直す②(うるし&蒔絵)4.割れた茶碗を直す①(パーツを接着)
5.割れた茶碗を直す②(うるし&蒔絵) 6.割れた土鍋を修理