暮らし

養蜂家さんに聞いた、ニホンミツバチのはなし

//// これは 05/17/2015 の「今日のニテヒ生活」の記事に追記をしたものです。////

 


「パリの空の下、みつばちが舞う」

そんなタイトルの番組をBSで観て以来すっかりミツバチが気に入ってしまい、本を購入してミツバチについて地味に勉強していました。

昆虫全般苦手な私ですが、コマルハナバチやケブカハナバチなどふわふわの毛の生えた蜂、しかも体毛が黄色のもので、質の優しいものは単純に「かわいい」と思い、近寄ってきても恐怖しません。

 

ミツバチには毛があまり生えていませんが、中でもニホンミツバチは小振りな身体で、滅多なことのない限り刺したりしないおとなしい質ということで、好きな昆虫のひとつです。

 

パリのオペラ座の屋上で養蜂をやっているというのは有名な話ですが、パリの街なかでも、実に様々な人びとが養蜂を楽しんでいます。


例えばアパートの一室に巣箱を設置している夫婦。
ミツバチは開かれたベランダの窓から部屋の一角に置かれた巣箱に出入りするのです。
どれだけミツバチや養蜂について周囲の理解があるのかがわかるエピソードです。


また、パリらしいすてきな巣箱も。
コントラバスだったかチェロだったか、とにかく大きな弦楽器の表板を透明のガラスに張り替えたものを巣箱とし、ミツバチが巣箱の中で活動する様子を観察できるというもの。


ミツバチが作るハニカムは確かに幾何学的で美しくもありますが、同時にそこに生物が住んでいるのですから、少々不気味でもあって、数千匹、数万匹のミツバチが時折羽を光らせながら歩き回る様は、ずっと見つめているにはあまり気持ちの良いものでは無いなと思ったのでした。

ネパールのはちみつ


さて、日本では明治以降西洋ミツバチが幅を利かせていますが、ニホンミツバチを愛する養蜂家も沢山いらっしゃいます。
(※明治10年(1877年)にアメリカから、アジアでは最初となるセイヨウミツバチが日本へやってきました)



ウチにたまに寄ってくれる地元の方、Kさんもニホンミツバチに魅せられたひとりです。

いつもミツバチについてそれはそれは熱く語ってくれます。
私も好きな話題ですから、ついあれこれと質問してしまいKさんを長く引き留めてしまって申し訳ないんですが・・・。


Kさん:「蜜が不足すると、セイヨウミツバチは大人しいニホンミツバチの巣箱を襲って蜜を奪うんですよ。そうすると、ニホンミツバチ達は巣に付いたセイヨウミツバチの匂いを嫌って、巣を放棄してしまう。」

※必ずしも巣を放棄するわけではありません。しかしセイヨウミツバチの盗蜜を止めさせるには、ニホンミツバチの巣箱を一旦4キロ以上離れた場所に移動し、その後もとの場所に戻す方法しかないそうです。(4キロ:セイヨウミツバチの行動範囲)



私:「蜂の身体の大きさで巣の入り口にフィルターをかけたりしますよね、例えばスズメバチが入らないよう穴を小さくするように、セイヨウミツバチより小型のニホンミツバチだけが入れる大きさの穴にして対処することは出来ないんですか?」

Kさん:「セイヨウミツバチは身体が扁平だから、こう、スッと屈んで割と小さな隙間からでも入り込んでしまうんですよ。」

※ニホンミツバチは基本的にはセイヨウミツバチよりも小型ですが、夏には両者はほとんど同じ大きさになるそうです。また、ニホンミツバチでも働き蜂(雌)・雄蜂・女王とそれぞれ身体の大きさは異なります。

※巣箱の入り口(巣門)の高さは、ニホンミツバチの天敵であるオオスズメバチがどうしても入れない6mmが理想。5mmでは雄蜂が出入りできなくなります。

 

ロイヤルゼリーは女王蜂に与えられる特別食です。
ニホンミツバチの巣が板状に横に並ぶものであるのに対し、将来の女王蜂になるたまごが産み付けられるのは、巣の下部に突き出すように特別に縦に設えられた部屋です。

その部屋で幼虫はロイヤルゼリーだけを食べて成長し、やがて女王蜂となり、旧女王蜂は新女王蜂に巣を譲り仲間を引き連れて分蜂するのだそうです。

※分蜂(分封)はワンシーズンに一度だけではありません。第2・第3の分蜂もあります。それだけ新たな女王が生まれたことになります。巣を引き継ぐのは末の娘女王ということになります。

 

私:「もしも女王蜂の部屋に産み付けられたタマゴと普通の部屋に産み付けられたタマゴを交換したら、元普通の部屋のタマゴも女王蜂に育つんですか?」

Kさん:「育ちますよ。ずっとロイヤルゼリーだけを食べていれば女王蜂になるんです。
実際そうやって人口的に女王蜂を増やしてそれを商売にしてる人もいますよ。」

東欧のはちみつ



Kさんはニホンミツバチの飛び交う場所の土地の持ち主に頼んで巣箱を設置させてもらい養蜂をしているんだそうです。

この辺りは冬場になるとそこそこ寒くなるので、寒さにあまり強くないセイヨウミツバチは越冬できず生息して居なかったんですが、ここ数年徐々に冬の気温が上がっていて、その影響からかセイヨウミツバチも見かけるようになったそうです。


今日、Kさんが久々に訪ねてきてくださったので、

「今年の蜂はどうですか」

と聞くと、

「5月2日にセイヨウミツバチとニホンミツバチがワーワーやっていて、それっきり。ニホンミツバチが寄り付かなくなってしまったよ。」

と悲しそうなKさん。

「もう時間もないし、今年は増やせないかも知れない・・・。」



因みに分蜂は梅雨前までのよく晴れた日、9時から15時くらいまでの間に起こります。

分蜂が始まるサインが現れたらその日は網を手にじっと巣の前で待機し、蜂たちが旅立ったらまるごと捕まえて予め用意しておいた新しい巣箱に連れていきます。

蜂も蜂で自分たちの次の住処を決めてある場合、その場所をハチたちに忘れさせるため、分蜂したミツバチを収容した新しい巣箱は500メートル程離れた場所に移動しておき、数日後に設置したい場所に移動するのだそうです。

※ニホンミツバチは分蜂後、近くの木の枝に一時的に固まり、そこから捜索ハチが新しい場所を探しに出かけます。そのため分蜂後すぐに移動する群れもあれば、一週間も新居を見つけられず移動できない群れもいたりします(自然状態の分蜂では300m以内で移動することが多い)


Kさんには蜂の話だけでなく、木々の名前や食べられる野草、車のこと、美味しい食材の手に入る店の話、沢山教えて頂いて今日も有意義なひと時だったのでした。

何かこう、ひとつのことに夢中になって調べて実践している人の話を聞くのはとても楽しいものです。
自分自身が、あんまり突き詰めるタイプではないので、尚更なのかもしれません。

 


※ことし(2016年)のKさんのニホンミツバチですが、なんとか一つ、巣箱に入ってくれて一安心だと言っていました。
ただ、今年はハチたちを殺してしまうダニが蔓延しているそうで、ニホンミツバチには影響はないだろうけれど、それが心配だそうです。

 

(2016年6月に追記した文章にはすべて※マークを付けてあります。)

 

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