小屋暮らしの雇われ仕事[2015]|次も期待してしまう卑しい気持ち
2017/02/24
僕の住む地域には別荘が多く立ち並ぶ。
冬は寒さが厳しいが、春から夏、秋と、木々の緑が生い茂りとても心地が良い。
真夏でも木陰に入ると嘘みたいに涼しいので、別荘を建てたくなる気持ちが良くわかる。
冬を経験する必要のない別荘に住む人びとにしたら、ここは理想郷、天国に近い場所なのかもしれない。
厳しい冬の寒さを耐えてきた僕にしたら、別荘の方々にばかり良い顔をする自然に対して、「お前ら猫かぶりすんなよ!」などと、多少複雑な気持ちになるのだが、やっぱり心待ちにしていた季節なので、皆と同様、これからの季節を存分に楽しみたいと思う。
こんな地域だから、これからの季節は主に都市部からの観光客が激増する。
沢山の観光客が来るのだから、その方々の希望を叶えてお金を稼ごうと思う人も当然現れる。
僕は今年もそんな商売上手?な夫婦のお店のお手伝いをすることになった。
このオーナー夫婦も観光客同様、都会に住む方々で地元民ではない。
ただ、観光客より少し早くから現地入りし、お金を稼ぐ準備を始めるのだ。
先ずはゴールデンウィークの書き入れ時に向け、お店の開店準備に掛かりきりとなっている。
仕事の内容については詳しくは書けないが、この夫婦はこれから夏の終わりまで働いたら、次の春まで一切仕事をする必要がなくなる。
サラリーマンをしていた僕には考えられなかった働き方に驚愕する。
実は僕も2年ほど前から細々と自分で仕事を始めてはいたのだが、桁違い(一桁どころではない)の売り上げの少なさが恥ずかしくてあまり人に話すことは出来ないでいる。
※勿論ブログ収入のことではない。ブログ収入に関してはどうやらセンスがないようだと、自信を喪失しているところだ。
少ないながらもコンスタントに売り上げることが出来ているのは、大した商品ではなくても、売る場所を広げたことにより、商品に価値を持たせることが出来たから。
吹けば飛んでしまうような商売なので、何を売っているのかは言えないが、良く言えば、セレクトショップのような括りになるのかもしれない。
簡単に言えば、容易に手に入る商品でも、売る場所を変えれば、入手困難かつ、需要があるといった感じ。一応はお金を生み出すシステムを見つけたのだが、都会で暮らす人だったら、売り上げの少なさに続けていられないかもしれない。
ローコストな小屋暮らしのお陰で何とかなっているのだ。
それにしても、成功者って凄いと思う。
お金を儲ける仕組みを考え形にしてしまえば、後は僕のような使い勝手の良い人間を雇って面倒な仕事を任せてしまえば良いのだから。
余談だが、ここでいう「使い勝手の良い人間」とは春から夏にかけてだけ働いてくれるという意味で、毎シーズン働いてくれる人、特に若者はなかなか見つからないのだそう。
しかし、この辺りには若者が極端に少なく、暇を持て余しているのは別荘で暮らす老人くらいなもの。
年間を通して、あまり勤めたくない僕のような人間と、オーナー夫婦の希望がうまく合致したようで、なかなかうまく行っているのだ。
初年度で大体仕事内容は把握出来たので、今年からは大分自由にやらせてもらえている。とても気楽だ。
朝、簡単にミーティングをしたら、後は殆ど1人で仕事をすることが出来るのだ。
問題があるとするならば、アルバイトをする為に移住してきた訳ではないという、心の葛藤。
1年目は...
「初年度は何かとお金が掛かるから仕方ない」
と、自分を納得させた。
今年は...
「車が欲しいから仕方ない」
と、自分を納得させた。
来年はどうなるのだろうか?
来年こそは、2年前からやっている仕事の売り上げを伸ばすか、新たに細々とした仕事を見つけるかして、移住した時に思っていたように、自分のやりたいことをやれる自由な時間を獲得したいと思う。
ところで、今回のブログのタイトル、
「次も期待してしまう卑しい気持ち」
についてです。
今やっている仕事は、10時と15時頃になると、必ずお菓子休憩が入る。
コーヒーやお茶と共に、食べきれないくらいのお菓子が差し入れられる。
基本、お菓子に飢えているので、気が付くと殆ど食べてしまうこともある。
過酷な生活を覚悟で移住したのだったが、僕は太ってしまうかもしれない。
そんなある日、
15時を回っても一向に休憩に呼ばれない日があった。
仕事の依頼を受けたばかりの頃は、お菓子休憩を心からありがたいと思っていたのだが、その日は、何時まで経っても15時休憩に呼ばれない事にあろうことか、モチベーションを低下させてしまったのだ。
急な来客があった為に、休憩時間が遅れただけで、16時頃にはいつもと変わらず、沢山のお菓子を差し入れていただけたのだったが、お菓子休憩があることが当たり前と思ってしまった自分がおぞましいと思った。
そして、昔みたドラマの一場面を思い出した。
古いドラマなので、知っている人だけクスッとして貰えたら幸いなのだが、15年位前だろうか、宮藤官九郎の「IWGP(池袋ウエストゲートパーク)」というドラマがあった。
※脚本:宮藤官九郎 原作:石田衣良 演出:堤幸彦
何話目だったかは忘れてしまったが、ヒロインのヒカルが主人公のマコトに、何でもない日なのに突然、入手困難で高価なスニーカー(ジョーダン)をプレゼントしようとするのだ。
マコトは高価なプレゼントに驚いて、受け取ることを拒否する。
ヒカルは何故拒否されるのか理解出来ないでいる。
マコトは言った。
「理由もないのにプレゼントを貰ってしまうと、次も期待してしまうようになる」
※うろ覚えだが、このようなことを言ったのだ。
人間とは良い意味でも悪い意味でも慣れてしまう生き物だと痛感した。
久しぶりに上下水の完備されたお風呂に浸かり、洗濯機で衣類を洗う。
(仕事が忙しいことを理由に、実は洗濯機やお風呂まで借りている)
すると、合成洗剤やシャンプーの香りがキツく感じる。
でも、三日も続けると、違和感を覚えることもなくなってしまうのだ。
【Amazonにリンクします】
●2000年4~6月TBS系にて放映
●第1~11話放映分の全話を収録。
●各巻ともTVでは放映されなかった未公開シーンを収録
原作:石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」(文藝春秋刊)
演出:堤幸彦 伊佐野英樹 金子文紀
脚本:宮藤官九郎
主題歌:「忘却の空」Sads(東芝EMI)
プロデューサー:磯山晶
製作著作:TBS
出演
長瀬智也/加藤あい/窪塚洋介/山下智久/妻夫木聡/坂口憲二/
矢沢心/佐藤隆太/小雪/きたろう/森下愛子/渡辺謙