蝶ネジを使った単室加圧式アルコールストーブの作り方
前回はベーシックなアルコールストーブを作りました。
最終目的であるパイトーチ型アルコールストーブを作る前に、基本的な構造を理解するためにも今回は単室加圧式アルコールストーブを作ってみました。
前回作ったストーブ:アルミ缶を使ったベーシックなアルコールストーブの作り方
[単室加圧式アルコールストーブ]
このストーブの特徴は、気化して圧の掛かったアルコール燃料の出口がジェット孔の穴しかないというところです。
A:燃料コック兼熱を伝える鉄棒
a:ジェット孔(18個)
b:アルコール燃料の油面
c:外部からの熱
外部からの熱(プレヒート)によってアルコール燃料を気化させる必要があるのですが、今回は燃料コックに使った蝶ネジを熱伝導体に使ってみようと思います。
詳しい着火方法は、組み立てた後に解説します。
燃料口を作る
この記事の中でアルコールストーブ用にアルミ缶をたくさん切り出したので、この中から2つ使いました。
缶の中心に穴を開けバリを取ったら、M6のブラインドナットを取り付けたいので、下穴に9mmの穴を開けました。
ドリル径は徐々に大きくしていきましょう。
僕が使っているM6のブラインドナットです。
※ホームセンターで800円くらいだったような気がします...。
僕が買ったナッターです。
これはM4~M6に対応しています。
M3~M10に対応しているようなので、お金があればこちらが欲しかったです。
今回の要である蝶ネジです。
これは燃料コック兼熱伝導の鉄棒となります。
蝶ネジはアルコール燃料に熱を伝え、気化させるという重要な役割があるので、アルミ缶の底面に触れるまでの長さがあると良さそうです。
僕は長さ調節と隙間埋めの為に、パッキン✕3と、高温対策にガスケットを使いました。
このガスケットに穴あけポンチやハサミなどを使って、ワッシャーのような形状のものを作りました。
どうしてもネジサイズが合わない場合は、アルミ缶サイズを変更するか、このようにボルトを切断するという方法もあります。
M6サイズでもステンレス製ボルトの切断は大変でした...。
ジェット孔を開ける
ジェット孔の数は前回同様18箇にしました。
アルミ缶の円周はおよそ21cmなので、A4紙の短い面をカットし、≒1.17くらいの間隔でマーキングしました。
ジェット孔サイズは1mmです。
アルミ缶を組み合わせる前の下準備
今回は加圧式アルコールストーブなので、ジェット孔以外に空気の抜ける隙間があってはいけません。
隙間埋めには「J-B Weld」という耐熱タイプ(300℃)のエポキシを使いました。
非常に強力な接着力があるのでオススメです。
念のため、アルミ缶内側のブラインドナットの隙間を埋めておきます。
組み合わさる内側の缶は、いつものようにひだ状に加工します。
今回は隙間があってはうまくいかないので、加工は中間辺りまでにしておいた方が良さそうです。
念のため、組み合わさる部分にも「J-B Weld」を塗布しておきました。
後ほどヤスリがけをするので、はみ出しは硬化するまで放置で構いません。
ヤスリをかけたら完成!
「J-B Weld」が乾いたら、はみ出しを処理して完成です。
大まかにですが、ついでに塗装も剥がしてみました。
完成です!
燃焼テスト
蝶ネジを外し、アルコール燃料を投入します。
プレヒートとして、アルミ缶上部の湾曲した部分をアルコール燃料で満たし火をつけます。
アルコール燃料に火がつき、蝶ネジが熱されています。
熱された蝶ネジが、アルミ缶の中のアルコール燃料を気化させてくれる予定なのですが、どうなるでしょうか...?
10秒位でブクブクとアルコール燃料が沸騰してきました。
まだジェット孔からは火が噴出されません。
緊張してきました...。
「ボボボッ」という音と共に、全てのジェット孔から炎が噴出されました。
所要時間は、およそ30秒~1分くらいだったと思います。
単室加圧式アルコールストーブの完成です!
大成功でしたね。
もっと簡単で現実的な着火方法
ターボライターやバーナーでアルミ缶自体を温めれば、あっという間に火がつきます。
ということは、当然こんな方法でも着火できるはずです。
思った以上に圧が掛かり、凄い火柱が上がっています。
「ベーシックなアルコールストーブ」と「単室加圧式アルコールストーブ」の炎の比較です。
右側のベーシックな方は、主室から上る炎があるので、同じ経のジェット孔ですが、若干炎の勢いが弱いように見えます。
火力は負けそうですが、単室加圧式の方が燃費が良さそうですね。
消える間近のストーブ。
この直後に2つ同時に消えました。
[おまけ]
火が消えた後でも蝶ネジは熱くなっているので、しばらくは触らないように注意して下さいね。