柿プリンに敗北宣言
2017/11/24
今年は渋柿ではなくて、甘柿をたくさんいただいたので、ここのところ恒例となっていた干し柿は作らずじまいでした。
・高速干し柿!無精心から発見したカンタン干し柿のこと
・柿の受難
甘柿は四割にして皮をむいて、正統派の食べ方をしていましたが、柿ってわりと足が早いんですね、気づくと結構な完熟具合になっていました。
触ると皮が柔らかい。
そうなると、どうも食感が好ましくないので、完熟柿の正統派以外の食べ方は無いものかと探したところ。
柿プリン
熟した柿と牛乳を混ぜるだけで、プリンが作れちゃうというんです。
柿にはペクチンという物質が含まれていて、これがカルシウムと反応することで固まる由。
ペクチンというのは、ゼラチンや寒天なんかと同じような働き(=固める)をします。
ただしペクチンには2種類あって、糖度とpHのコントロールで反応する「HMペクチン」と、カルシウムなどに反応する「LMペクチン」と。
で、柿の場合はカルシウムと反応するLMペクチンが含まれているから、牛乳と混ぜるんですね!
と、説明はこのへんにしておきまして、実際に柿プリンを作ってみます。
本当に固まるのでしょうか!
かなり半信半疑です!
用意したもの
完熟柿 2個
牛乳(種類別「牛乳」というもの)、柿の重さの2分の1の量
甘味(ハチミツや砂糖などお好みで)
皮をむいた柿と牛乳と砂糖をミキサーにかけて、器に入れるだけ。
しかしウチには電気もミキサーも御座いませんので、すり鉢ですった柿を牛乳と混ぜました。
↑完熟柿
↑皮をむいて切った
↑すり鉢で、固形物がなくなって液体になるまで擦った
↑柿液体に牛乳を加えてよく混ぜて容器に移す。
そして冷えた窓辺に置いて固まるのを待ちます。
が!!
半日経ってもプリンにならない!
かなり贔屓目にみて、「ちょっとだけ固まったかなー。」という、どろどろの液状の柿ソースができました。
うーん惜しい!
幸いなことに、完熟柿はまだ2つ残っているので、もう一度柿プリンを作ってみることに。
その前に、解決しておかなくてはならない問題点が。
どうして固まらなかったのか!
ということです。
で、調べた結果ですが、
柿プリンを作る際に気をつけたい2つのこと
1、柿は熟したものを使うこと
ペクチンには水溶性のものと不溶性のものと2種類あって、不溶性ペクチンは未熟な果実の中に含まれていますが、果実が熟してくると水溶性に変化します。
一方の水溶性のペクチンは、果実の果皮などに多く含まれています。
つまり熟した柿を使えば、より多くの水溶性のペクチンを含んでいる→固まりやすい!
2、皮をむいたら、すぐに牛乳(成分無調整)と混ぜること
理由はハッキリとしませんが「皮をむいてから時間が経つとダメ」という記述を随分見かけましたので、守ってみます。
そんなわけで今回は、前回からさらに5日追熟させた柿を使うことにしました。
触ると指の形が残るほど、ブヨブヨです。
皮も透明がかってきてる。
さらに、手順を変更。
「皮をむいた柿をすり鉢で擦ってから牛乳と混ぜる」
↓
「皮をむいたらすぐに牛乳と合わせて、その後すり潰す」
↑柿と牛乳を混ぜたあと、茶漉しで漉したところ
↑器にいれて窓辺で冷やしましたが・・・
しかしですね、今回はまったく!なんにも!固まりませんでした!
失敗作のはずの前回がとんでもなく好結果に思えるほどです。
こうなったら、最後の手段です。
正直なところ、前回のゆる〜い柿プリンは、あんまり美味しくなかったので、今回は失敗作にタマゴを混ぜて、蒸しあげることにします。
柿プリンの失敗液200mlに、Lサイズタマゴ1個程度が目安でしょうか。
↑タマゴ2つ(Sサイズなので2つ)と柿プリンの失敗作を混ぜて・・・
↑柿風味の「普通のプリン」を作るつもりです
↑お鍋で蒸します。
できた!
(当たり前ですが)しっかり固まった!
それにしてもどうして固まらないんだろう・・・
ミキサーを使って、滑らかになるまで徹底的に混ぜないとダメなのかも、と考えましたが、ミキサーを使わない柿プリンのレシピも存在することから、その線は薄いし・・・
使用した柿の個体差もあるかもしれないけど・・・
その後、しつこく調べた結果、柿プリンの成功のカギは、
牛乳の量を少なめにすること
どうやらこれに尽きそうです。
「柿:牛乳=2:1」と書いてあるレシピがたくさんありますが、これを「柿:牛乳=2:0.6~0.8」くらいに減らせば、ぷりぷりに固まるかもしれませんよ!
もう時期的に柿が手に入らないので試すことができないため、断言はできないんですが。
くやしいので、LMペクチンを含む他のフルーツをさがして、混ぜるだけプリンを作りたいと思います!
つづく。
追記
「柿のタンニンがLM/HMペクチンのゲル化を促進する」という研究結果が。
ペクチンとタンニンの複合体はペクチン単体のときと比べて2倍の効果があるという。
ということは、日本植物生理学会のこの質問↓
「柿と牛乳を混ぜた際の凝固作用における品種間差について」より抜粋
「以前、柿(400g)と牛乳(250g)を混ぜ合わせ、柿プリンを作りました。
その際、富有柿(甘柿)を用いて作った場合にはプリン状に凝固させることができました。また、二酸化炭素で渋を抜いた平核無(渋柿)に牛乳と混ぜた場合はプリンの状態を保てるまで凝固しませんでしたが、渋抜き前の柿だと凝固しました。そこで渋を抜いた平核無が上手く凝固しなかった理由を考えています。」
まさに、上記研究結果の通りであったということ・・・だとすると。
「渋柿」を使うと、より固まりやすいということ?
でも、渋柿をそのまま使ったら、渋いプリンになってしまいそう・・・
かといって、完熟させたら肝心のタンニンがなくなってしまうし。
というか、普通の甘柿で完熟していない個体が、適任なのでは?
タンニンを含んでいるし、ゲル化を促進してくれそうな気が。
このへんは、来シーズンに要研究ですな!
ちなみに、日本植物生理学会さんの答えですが、
「(略)タンニンとは充分に高分子量のフェノール化合物で、充分な水酸基(-OH基)や他の適当な基(例えばカルボキシル基:-COOH)をもっていて、特定の条件下でタンパク質や他の高分子との間でしっかりとした強固な複合体を形成する物質ということです。牛乳のタンパク質の大部分はかゼインですので、牛乳を柿と混ぜると固まる事はあってもよいような気がします。」(後略)