趣味 - 古道具、カメラなど

【 [2/2] 登山】架空の山へ登ってきた話

2016/06/16

《2015/10/18更新の過去記事を加筆修正したものです》



関連記事:【登山】架空の山へ登ってきた話 - 1/2 -

17:00には寝る準備を整え、テントに入ったところから再開します。



パーカーのフードを被り、テント内に広げられた寝袋に入ると直ぐに眠気に襲われた。
寒さから数時間で目が覚めた。

その時に書いた短文があります。
気恥ずかしさもありますが、原文のまま掲載します。

夕食を済ませ寝る準備を整えると17時には寝袋に入った。足が冷えるので出来るだけ丸くなって寝た。直ぐに眠った。

日が登るまで後どのくらいだろう?
寒さで目が覚め時計を見ると、まだ20時を回ったばかりだった。
気が遠くなった。

テント内の気温は2.4℃。
更に着込む為にテントを出ると霜柱が出来ていた。星空と夜景が見渡せた。

持てる服を全て着込み、特に冷える足は空にしたバックパックに突っ込んだ。

薪ストーブのある小屋に帰りたい。
温かいスープが飲みたい。
ミネストローネ(ベーコン抜き)とかパンプキンスープとかが飲みたい。
温かいお風呂に浸かりたい。

僕はいつだって何がやりたいのか分からなくなる。
でも、そんな混沌とした時に得た経験は後々役に立つって分かっているから、今はただ身体を小さくして太陽が登るのを待つしかない。
他にうまい選択肢も思い浮かばないのだから腹を括るしかない。褒められたものではない。それしか出来ないだけなんだから。



04:30 -1.0℃

登山者の足音で浅い眠りから目が覚めた。

辺りは真っ暗だが、ヘッドライトの明かりで山頂を目指そうと思った。
日が登ってから再開したのでは、明るいうちに下山出来ないかもしれないという恐怖心があったのだ。

テント設営地から先は、これぞ"急登(きゅうと)"といった難所が幾つもあったが、荷物の大部分をテント内に置いて、小さなバックパックに水、ストックくらいしか入れずに登ったこと、垂直に近い崖を登るときにも、周囲が暗いため恐怖心が薄れ、思いの外順調に登ることが出来た。

登頂まで2時間程度掛かったが、その途中で日が登り、新しい日が始まる瞬間を望むことが出来た。
あまりの美しさに全身が泡立った。

IMG_3645.jpg

IMG_3646.jpg

非現実的な光景に恍惚となって動けなかった。
これ程の雲海を見たのは初めてかもしれない。

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6:30 ≒3000M

登頂を果たした。

ぐるりと一周見渡す程度で、直ぐに下山しなくてはならなかった。
僕の高度計が120Mもズレていたことが発覚した。収穫だった。

登りの時は調子の良かった膝も下りになった途端、強烈に痛み出した。
更に胃が痛み出し、頭痛も始まった。そして軽度だが吐き気まで始まってしまった。

まさかとは思うが、チベットや北インドで体験した"高山病"という地獄のようなイメージが脳裏に浮かんだ。
少しでも早くにテント設営地へ戻らなくてはと焦った。
起きてから直ぐに歩き出したことを後悔した。せめて温かいスープでも飲んでからにすれば良かった。

足を引き摺るように下山したので、テント設営地までは登った時と同じくらいの時間が掛かってしまった。

コッヘルでお湯を沸かしている間に、急いでパッキングを済ませる。
朝はインスタントのスープとパンを食べた。

念のため、少しだけパンを残しておいた。

頭痛や胃の痛み、吐き気は大分収まってくれた。


これから先は延々と痛む足を引き摺るように下山をすることになった。
写真を撮るゆとりもなく、何時間も何時間も延々と痛む膝に悩まされた。

這うようにして下るのでもの凄く時間が掛かった。
余りに痛いので、後ろ向きになって歩いてみたり、横歩きしてみたり、数歩進んではしゃがみを繰り返したりした。

二度と登山なんてするものかと、真剣に考えた。
この登山で楽しかったのは焚き火をした時と、日の出の数分くらいだった。

これだったら、都会からの観光客と同じようにオートキャンプ場などでBBQを楽しむくらいの方が自分に合っているのではないかと思った。
何度も何度もその場に座り込んでしまいたくなった。

痛む足を庇うように歩くので、もう片方の足も痛くなり、ストックを持つ手も豆が潰れて痛かった。
唯一の救いは、殆ど登山者がいなかったこと。こんな情けない姿を晒したくはない。

14:45 下山 

今日は10時間以上も歩いたことになる。
山登りの時間を競うつもりは毛頭ないが、それにしても今回は酷い登山となった。

最後の方は何度も高度を計り、ストックを後何回突けばゴールだと自分を鼓舞し続けていた。
アスファルトの道路が見えた時には全身の力が抜けるようだった。

大きな怪我もなく、生還出来たってだけで大満足だった。

【オマケ①】

途中、どこかのビーチにでもいるかのようなラフな格好の異国の登山者と出会った。
彼はランニングシューズに半袖短パン、見たこともないような小さなバックパック、そしてイヤフォンで音楽を聞きながら崖を駆け下りて行った。

何と彼は僕が二日がかりで登った山を僅か半日で登ってしまうとのことだった。
同じ人間とは思えなかった。

僕はバックパックを投げ出し休憩しているところだったのだが、彼が言うように僕の装備は重すぎたようだ。
悔しさと恥ずかしさで一杯になった。

IMG_3665.jpg

【オマケ②】

ボロボロになって帰宅をしたが、やらなくてはならないことが山積みだった。
先ずは疲れを取るためにお風呂を沸かさなくてはならない。

近くの水路まで20Lタンクを2つ一輪車で運び、それを3往復をした。
火を焼べている間に、登山道具の汚れを落としたり、メンテナンスをしなくてはならなかった。

ますます登山が嫌いになるように思った。

IMG_3674.jpg


【オマケ③】

寝て起きたら次に登りたい山のことばかりを考えていた。
嘘みたいだと自分でも思う。

今回の失敗をどうしても取り返したいという気持ちが大きいのだと思う。
次に登りたい山を3つ、目星をつけたのだが、どの山も3000M超えの山なので、装備と季節をしっかりと見極めたい。


【ここだけの話】

下山途中、道を間違えて遭難しかけた(30分くらいのロスと、もの凄い恐怖心)

およそ100M先の山林の中を二匹の動物が駆け抜けて行った。
猿かと思ったけど、あんなに大きいわけないし、イノシシにしては足が長過ぎると思った。
えっ?熊?小熊だったの?

まさかとは思うけど、、真相は藪の中...



おしまい。





 

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