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【 [ 1/2] 登山】架空の山へ登ってきた話 

2016/06/10

《2015/10/17投稿の過去記事を加筆修正したものです》

 

※今回は架空の山登りです。住んでいる場所を明かさずにやっているブログなのでこのような表現を取りました。ご容赦下さい。
また、素人丸出しの無謀な登山スタイルと映るかもしれませんが、あくまでフィクションです。よろしくお願いします。
※画像を見て直ぐに何処の山か分かってしまう方がいるかもしれませんが、そっとしておいていただけると嬉しいです。

 

 

不摂生な生活から、眠れたのは僅かな時間だった。
60Lのバックパックには、テント、シュラフ、防寒着、食料、コッヘルにバーナー、あとは夜に読むかもしれないと文庫本を入れた。

大分削ぎ落としたつもりだったが、担いでみると不安になった。
これから登る山は日本でも3本の指に入る"急登(きゅうと)"で有名な、、まぁ厳しいルートらしいからだ。

近くて有名な山だから登っておきたかったってだけなのか?
自分でも良くわからないので、きっと誰にも分からない理由から僕は車を登山道入り口で停めた。
靴紐を結び直し、バックパックを背負い「あぁ眠いなぁ、、」といった感じで歩き始めた。

6:30 860M

この架空の山へのルートは幾つかあるのだが、今回はその中でも最も厳しいルートらしい。
このルートを選んだ理由は家から一番近かったという、たったそれだけだった。

実は去年もこの山へ入っている。その時は山の中腹まで登って帰ってきた。
この時はほんの下見のつもりだったのだが、道もあり、ルートも分かり易く、皆が言うほど大変そうな山とは思わなかった。
時間は掛かるだろうが、過度に構える必要もないだろうと思っていたのだ。

歩き始めて思ったのは、やたら倒木が多いということ。
少し前に台風があったのでその影響だと思う。

寿命を迎えた木が倒れて土に還るという自然のサイクルを垣間見たように思った。

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7:30 1305M

ホオノキの落ち葉がゴミだらけのスラム街に見えた。
登り始めて1時間だが、汗塗れになったTシャツを脱ぎ、上に着ていた長袖とナイロンジャケットだけになっていた。

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8:30 1465M

イノシシだろうか、土を掘り返した跡があちこちにある。

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見晴らしが良ければ写真を撮る余力もあるし、眠気も感じない。
体調は万全と言って良いくらいなのだが、それでも息は切れ、汗が吹き出す。

ずっと前から思っていたのだが、そろそろ休憩が必要じゃないだろうか?

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9:30 1695M

恐竜の顔(T-LEXとか?)によく似た岩だと思った。
一度は面倒だと思ったけど、思い直し写真を撮った。

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休憩を入れた。

去年とはまるで印象が違った。

キツい。

バックパックが重すぎるのだ。
荷揚げをやっているように思えてきた。

冷たい湧き水で手拭いを湿らせた。

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何度目かの休憩の時、もう無理だとバックパックを下し仰向けになった。
やっと紅葉を楽しめたような気がした。

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10:30 1960M

先ほどまでずっと笹原が続いていたのだが、1800Mを超えた辺りでピタリと見当たらなくなった。
森林限界って訳ではないと思うのだけど、不思議に思った。

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ここから先の尾根は熊が出ることで有名らしいが、熊よけの鈴とかラジオはうるさいから持ってきていない。

これだけ疲れているので、熊と出くわしても良いリアクションが返せるとは思えない。
そんな下らないことを考えながら尾根を進む。

もうどうでも良いってくらいに疲れ果てていた。

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握力頼りで登るのことのリスクが跳ね上がっている。
寝る前に読もうとバックパックに捩じ込んだ単行本ですら投げ捨てたいと思うほどバックパックが重かった。重すぎた。。

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そういえば他に登山者はいないのだろうか?
まだ誰とも擦れ違わない。

もう少しで山は一足先に冬となる。
今年はこれが登り納めとなるのか。

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11:30 2135M

標高は2000Mを超えている。
パノラマが広がっているが、酷い疲れのためグレーのフィルターを通して見ているようだった。

出来ることなら本日中に登頂したかったが無理かもしれない。
実は右膝が痛み出し、極端にペースが落ちていたのだ。

疲れが溜まっていたし良い時間だと思ったので、逃げ込むように昼休憩とした。

やっぱりパンより米が良いと思った。
本当に美味しく、元気が湧いてきた。

まだやれると思った。

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登山道の至る所に祠や道祖神があった。
過度なスピリチュアルは苦手だし普段はお祈りとか余りしないけど、今は見るたびに、

「無事に登頂し下山できますように」

などと、虫の良いお願いを繰り返していた。

そのうち心の中ですら祈ることが億劫になり、

「登頂、下山!」

と、ぞんざいなお祈りへと変化していった。

こんなことなら初めからお祈りなんてしなければ良かった。
それならば今からでもお祈りを止めてしまえば良いと思うのだが、途中で止めてしまうとなんとなくだが悪いことが起きそうだと思ってしまい止められない。最悪だ。

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12:10 2260M

幾つもの山を越え、目当ての山の登頂を目指す。

途中、延々と下る箇所があった。少しだって下るのは嫌だった。

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13:50 2480M

7合目~8合目辺りまで登っただろうか?
ここまで来てようやく数人の登山客と出会った。

テントを張るならこの辺りが良いということ、これから登頂を目指すのは危険だということを教えられた。
※この場所にテントを設営し荷物を置いて登頂を果たしたとしても、帰ってくる途中で暗くなってしまうとのこと。

予定より大分早いがテントを設営し、もう休もうと思った。
明日のことを考えると少し不安だったが、一度切れた気持ちを再び繋ぎ直すことは難しかった。

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他の登山客は皆、有料の山小屋へ泊まるそうだ。
テント泊は僕一人だった。

先ずは汗塗れの上着を脱ぎ、新しいTシャツにパーカー、フリースを着こみ、パンツも冬用登山のものに履き替えた。
登ることを止めて初めて"寒い"ということに直面した。

一人用テントの中では勿論煮炊きは出来ない。
どんなに寒いからといって、テント内でバーナーを使えば一酸化炭素中毒で死ぬことになるだろう。

先ずは地面に穴を掘り、焚き火をすることにした。
穴を掘るのは、風避けの他に焚き火が終わったら土をかぶせて埋めるため。

先ほど数人の登山客と出会ったが、火を熾すことだけは誰よりも上手く出来る自信があった。
移住して2年が経つが、これまでに何百回と裸火を扱ってきたからだ。

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風向きによって煙が目に入ったが、めげずに手をかざし、かじかんだ指を温める。
根気よく火にあたることで、少しは気持ちも落ち着いてきたように思った。

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焚き火でお湯を沸かしても良いのだが、コッヘルの底が煤で黒くなるのが嫌なのでバーナーを使った。
温かいものが飲みたい。身体を暖めなくてはならない。

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じっと火の前に座っているだけであれば、足の痛みも忘れることが出来た。
食料の入った袋を開けると、マシュマロやら菓子パンなどが出てきて元気が湧いてきた。

早速木の先をナイフで削り、マシュマロを火に炙る準備をした。
ナイフはこの時くらいしか使わなかった。

同じビクトリノックスでも、小さなノコギリの付いたものであれば薪を調度良い長さに切断出来て便利だろうと思った。

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マシュマロを火で炙ると、不思議なのだが表面ではなく内側の中身だけがドロドロに溶ける。
これが本当に好きで、移住してからは冬の楽しみとなっている。

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甘い菓子パンも同様に炙ってみた。
これから先、忘れられないのではないかと思うくらいに美味しかった。

何故だろう?ガスの炎とは違って、煙に塗れるのが意外にも良いのかもしれない。

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17:00

まだ日は落ちていなかったが、歯を磨いたり身体を拭き早々にテントに入ることにした。



長々とお付き合いいただき、ありがとう御座いました。
次回はテント内で書いた短文を恥ずかしげもなく公開させていただこうと考えています。

後半は写真も少なく、データも取らなかったのでテンポよく進む予定です。
またよろしくお願いします。

【おまけ】
正直に書くと、クマ対策になるかは分からない程の小さなものですが、家には小さな鈴がありました。
持って行くのを忘れたのです。
ついでに言うと、ポイズンリムーバーも忘れました。

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